新卒で入った会社を退職しました。
今週のお題「今年中にやっておきたいこと」
ブロガーっぽいタイトルをつけてみた。
先週末が新卒で入って2年9カ月務めた会社の最終出勤日であった。年末までの2週間は有休消化期間であり、その間に引っ越しを行う予定である。そして年明けからは新しい職場で新しい生活が始まる。
先週まで普通に出勤していた会社に、もう二度と行くことはないのだと思うととても不思議な気分である。
大学の卒業のときと同じような気分である。あれだけ毎日通っていた研究室にもう二度と行かなくなった日。小中高の卒業式が学校を挙げての一大イベントであることに対し、大学の卒業式は、式の一方で普段の生活が並行している(実験は休めないし、生物の世話はあるし、研究室はなんだかんだで通常運営だ)。だからだろうか、日常の中から一人放りだされたような気分になった。会社も一人や二人、メンバーが抜けたところで、通常運転に変わりはなく。私はまたしても、一人で世間に迷い出てしまったかのような気分になっている。
働いていたときは、毎日毎日辞めたい辞めたい辞めたいと思っていたのにな。
いざ辞めてみると、妙な名残惜しさと、何かやり残したことがあったのではないかという不安がある。
私は誠実に働いていたか。そんな問いを突き付けられている。
2017年は、今後人生を振り返ったときに、大きな区切りとして思い返される年となるだろう。
結婚、引っ越し、転職。俗に言うライフイベントが一気にやってきた。
最も生活自体は未だに何も変わっていないので、実感は湧いていない。書類だけの結婚で、遠距離恋愛が別居婚へと変わっただけである。結納結婚式披露宴をしていないのでイベント感もそこまでない。
とはいうものの、この独身時代の延長のような結婚生活も、2017年末で終わる。9年続いた一人暮らしもあと2週間で終わる。ああ、名残惜しい、孤独な自由時間。
今年もあと10日あまり。もう一度、この3年あまりの会社員生活を振り返ってみよう。もう一度、一人で世界に向き合った日々を総括してみよう。そう思っている。
退職まであと3日。
転職する。そして明明後日が現職場の最終出勤日である。正式な退職日は12月末だが、来週からは有休消化に入る。
想像以上に感慨深くなく、相も変わらず代り映えしない毎日である。確かに業務は引継ぎや片づけついでの棚卸が中心になったが、毎朝起きて、会社に行って、働いて働いて、スーパーに寄って帰るというルーチンは変わらない。日常があまりにも日常すぎて、来週の今頃は平日の昼間に堂々と休んでいる、という事実がいまいち想像できないでいる。引越の準備も進んでいないし、今日と同じ明日が永遠に続いていく気もする。
貴重な日々をただただ消費してしまっていると感じた日もあった。本当にただただ月日が経つを耐えている、と感じたこともあった。仕事上でも私生活でも特に目標を持つこともなく、毎日を過ごしてしまったからだろう。ふと、この3年間(今の職場は3年目だ)の意義を考えてみたりもする。私にとって、私の人生にとって、この3年間はどういう意味を持っているのか。
確かに学ぶことは多かった。
学生時代とは、意識や物の見方が変わったことも確かだ。
例えば、社会人になることが私はとても怖かった。大人になることが、と言い換えてもいい。自分のダメなところは自分が一番知っている。自分が社会人(あるいは大人)にあたいする人間だとはとても思えなかった。しかし実際に社会人になると、「社会人」といっても一人の人間であることには変わりがないことがいやでも分かった。よい人もいれば悪い人もいるし、社会人の大半はよくも悪くもない人であることを知った。気づけば私も社会人にカテゴライズされていた。
例えば、世の中にはいろいろな人生があることを知った。本が好きだったので知っている気になっていたのだが、それでも文章の中で知るのと、実際に会って話すのとは違う。変な話、学生時代までは、40代以上の未婚の男女と知り合う機会はまったくなかった。私が大学生時代までに出会った人々は、いかに均質化されていたことか。ある意味、恐ろしくもある。
例えば、社会人になる前は金を稼ぐことが、なんとなく汚いものに思えていた。この意識は180度変わった。金を稼ぐことは、お金を循環させること。稼ぐこと、使うことに肯定的になれたと思う(稼げているわけでも、十分に使えているわけでもないのだけど……)。うん、お金欲しい。
今の生活が特別幸せとは思わないが、特に不幸とも思わないので、もしかしたら今の私はものすごく幸せなのかもしれない。
幸せな金曜日。少女漫画な気分。【読書日記】
今日は金曜日、定時で帰れた。
なんだかどこか浮足立った気分で、スーパーでキムチ鍋の材料とビール(第三のビールでも発泡酒でもなくてビール)を買った。
あれもしかして私今とっても幸せなのではないのと思ったら、ますます幸福感が溢れてきた。人の感情はなんと軽薄なものなのだろう。
特に行く予定もなかったのに、本屋へ寄った。無性に少女漫画が読みたかった。
少女漫画を読まずに育ったのに、今では2カ月に一度くらいとても少女漫画が読みたくなる。鳥飼茜の『おんなの家』を買った。少女小説?まあいい、1巻から3巻まで買った。勢いに任せず、最終巻の8巻までまとめ買いしなかった自分をほめてあげたい。
少女漫画のもつ魔力を持つ小説のジャンルは何だろうと考えながら本屋をさまよった。恋愛小説?少し違う気がする。純文学?もちろん違う。私の中で純文学を読みたい気分と、恋愛小説を読みたい気分は明確に異なっている。だとしたら、BL?ハーレクイン?どちらも足を踏み入れたことがないジャンルだ。沼は深そうだ。
いろいろと悩みながら一冊を選ぶ。P・ハイスミスの『キャロル』。裏表紙によると「サスペンスの巨匠ハイスミスが匿名で出した幻の恋愛小説、待望の本邦初訳」、だそう。しかも百合っぽい。おお、楽しみ。
アパートの狭い台所でキムチ鍋をつくる。素を鍋に入れ、火をつける。刻んだ白菜とニラとしめじとえのきともやしと豚肉を入れて、煮込む。ビールを開ける。本を開く。まずは『おんなのいえ』。いきなり主人公(29歳)が、知り合って10年付き合ってすぐに同棲して3年の彼氏に振られてる。おお……恋愛小説??
キャロル (文庫ハ)[本/雑誌] (文庫) / P・ハイスミス/著 柿沼瑛子/訳
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