読書録 本読みの貪欲

近畿地方の某田舎町で一人暮らし中。

読んだ本

小説のための小説『1000の小説とバックベアード』

小説をテーマにした小説を読んだ。佐藤友哉『1000の小説とバックベアード』。 著者、佐藤友哉の本を読むのは初めてだったが、これが面白かった。一気読み。昨日は台風が来るとのことで、引きこもって本を読んでいたのだが、おかげで退屈することなく一日を過…

私は幸せなのか。アラン『幸福論』

入籍当日。遠距離の婚約者に会うため、バスと電車を乗り継ぐ中、アラン『幸福論』をパラパラと読んでいた。 プロポ(哲学短章)というそれぞれ独立した小編が積み重なってできた本書は、どこからでも読めて、移動中に少しずつ読むのにはもってこいだ。岩波文庫…

週末読んだ本

土曜日。久しぶりに一日中本を読んでいた。 このごろでは滅多になくなってしまったことだ。 記念に、というわけでもないが、今週末に読んだ本を記録しておこうと思う。 『ずっとお城で暮らしてる』シャーリー・ジャクスン 桜庭一樹のエッセイで紹介されてい…

自分に足りていない能力について。

森博嗣さんの新書を立て続けに読んだ。 2003年初版ながら最近も新聞広告に載っていた『「やりがいのある仕事」という幻想』と2017年1月初版の『夢の叶え方知っていますか』という朝日新書である。 自分には「やりがい」も「夢」もないんだけど、と軽く絶望し…

私=人間=人形? 森博嗣『赤目姫の潮解』

森博嗣の100年シリーズに最終巻が出ていると知ったのは、恥ずかしながらつい最近のことだった。毎週のように図書館に通い、毎週のように森ミステリを借りていた中学生の頃が懐かしい。 最終巻は、もうとっくに文庫化もされており、本屋にも図書館にも並んで…

読書疲れの日曜日

特に予定もなかったので本を読んで土日を過ごした。 一人暮らしであることをいいことに、土曜日は布団を敷きっぱなし、パジャマも着っぱなし。 本を読んでは、寝落ちして、再び、本を読んで、寝て、食べて。 そんなこんなで日曜日のお昼過ぎ。 さすがに着替…

料理研究家の研究。阿古真理『小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代』

どちらかといえば料理は好きだ。 だけど料理の本を読んだり、自炊関係のブログやテレビの料理番組を眺めるはもっと好きだ。 レシピ本を見ながら料理をすることよりも、ただただレシピ本を眺めていることの方が多い。 残業帰りに半額総菜やらインスタント食品…

恋愛小説じゃないけど。『告白』。町田康

日曜日。 平日は毎日のように、次の休みの日こそ遊びに行こうと思っているのに、いざ休日を迎えると腰が重い。 都会の本屋へ行きたいなと思うのだけど、まあ、図書館から借りた本も、キンドルには読み返したいシリーズ物も、部屋の片隅には積読山もあるし、…

愛は金では買えない。それが親子であっても。『ゴリオ爺さん』バルザック

バルザックの『ゴリオ爺さん』を読んだ。パリの社交界での成功を夢見る貧しい学生ラスティニャック。 彼の住む安下宿には、一代で財を成した裕福な商人であったゴリオ爺さんがいた。 ゴリオ爺さんが貧乏生活を送る羽目になったのは、美しい二人の娘のせいで…

『サピエンス全史』、読書中。年末年始に読んだ本

一年が始まる。 自分でも驚くほど、仕事に行きたくない。 気がつけば「仕事行きたくない 死にたい」だとか「仕事行きたくない どうしよう」だとかで検索している自分がいる。 どうしよう、じゃない。いや、ほんとに。 この正月休みで分かったことはといえば…

風呂読書と自己否定 つげ義春『新版 貧困旅行記』

11月。十分すぎるほど寒くなってきた。寒さに耐えられない夜は、ガス代を気にしつつ湯船にお湯を張る。 せっかく湯船に湯を張るという贅沢をするのだから、風呂の時間をめいっぱい有効に使いたい。となると風呂に文庫本を持ち込むに限る。風呂読書については…

「世界は僕を特別扱いしない」から始まる自由。『不自由な男たち――その生きづらさは、どこから来るのか』小島慶子・田中俊之

まったく。年齢性別、所得の多寡や家族の有無にかかわらず、生きづらい世の中ですね。 一若者としては、この先幸せになれる気がまったくしない。今日という日をだましだまし生きて、歳をとり、そして死んでいくのだろうなと思う。 『不自由な男たち――その生…

『あなたが生きづらいのは「自己嫌悪」のせいである。他人に支配されず自由に生きる技術』安冨歩

相変わらず迷ってばかりいる。 そして相変わらず、「自分は自尊心が低いのではないか」と思ったりしている。自分と友人との差をみては、私になくて彼彼女らにあるものを考え込んだりしている。 「生きづらい」「自己嫌悪」というキーワードに惹かれ『あなた…

監禁、人間性の喪失、孤独。そして詩情。『ささやかな手記』 サンドリーヌ・コレット

読んだ。久しぶりのハヤカワミステリ。新書より少し背が高く、黄色い紙のハヤカワミステリだ。もちろん推理小説を期待して本を開いたのだが……あれ、これってホラー? 背表紙を読んでみる。 目覚めると、鎖をつけられ、地下室で監禁されていた―― ホラーではな…

南極行きたい。『南極大陸 完全旅行ガイド』

ひと月前くらいから、ものすごく南極行きたい。きっかけは、会社で梱包材代わりにしていた古新聞に「南極クルーズの旅」という広告を見つけたことだ。 それから私の中で「南極」の二文字が燻り続けている。会社の始業前や昼休みに、ちょこちょこと調べてみた…

会社の中に潜む詩 『現代詩文庫 179 四元康祐詩集』

シルバーウィークが終わってしまった。 聞いた話によれば次にシルバーウィークが5連休になるのは11年後とのこと。 ブルーマンデー、サザエさん症候群、休み明けの出勤を嘆く言葉は数あれど、嘆いたところで出社日はやってくる。 さて。シルバーウィーク。久…

「定番だけじゃ人生つまらなくない?」『ほかの誰も薦めなかったとしても今のうちに読んでおくべきだと思う本を紹介します。』

今週のお題「読書の夏」 『ほかの誰も薦めなかったとしても今のうちに読んでおくべきだと思う本を紹介します。』、長い題名だ。だけれども、惹かれる題名である。 今のうち、とはいつのことか。それははっきりしている。14歳。河出書房出版社の「14歳の世渡…

夏に読む京極ミステリ『絡新婦の理』

妖怪。妖怪ウォッチを持ち出すまでもなく、人々は妖怪が大好きなのだろうと思う。夏休みということもあってか、美術館も水族館も妖怪をテーマにした展示をしているようだ。 妖怪をモチーフにした文学作品も星の数ほどある。 私は怖がりなのでホラー小説は読…

壮大なホラ話?『わたしは英国王に給仕した』フラバル

映画『グランドブタペストホテル』を観た。面白かった。映画の主人公はロビーボーイ(給仕人見習い)、同じようなホテルやレストランを舞台にした小説が読みたいと思い、『わたしは英国王に給仕した』を手に取った。河出書房新車、池澤夏樹個人編纂世界文学全…

『死をポケットに入れて』 チャールズ・ブコウスキー、老年期の日々。

読んでまず驚いたのが、主人公である著者が老いていたことである。 予備知識を持たずに、文庫本後ろのあらすじも読まずに、著者の名前と題名だけを確かめてページを開いたのが悪かったのだが。いや、予想もしなかった文章に出会えたという意味では幸運か。 …

詩のこころとは? 嶋岡晨『詩のたのしさ』

詩の本を読んだ。嶋岡晨『詩のたのしさ』(講談社現代新書)である。平易で読みやすく、詩の引用も多々あり、そしてそれらの詩の作者別の検索表が載っており高評価。個人的には、好きな詩である高村光太郎の『道程』の引用があり嬉しかった。高村光太郎の詩…

倉橋由美子『シュンポシオン』

本が溜まっていく。 このところ、買ったり借りたりする本>読む本、なので、部屋にどんどんと未読本が溜まっていく。読もう読もうとは思うものの、無理してまで本は読むものでもなく、とすれば、寝る前の30分読書で消化できる量はたかが知れており、その結果…

『火の賜物 ヒトは料理で進化した』 リチャード・ランカム著

究極のところ、私は「自分の人生とは何か」ということにしか興味がない。しかし「自分の人生とは何か」ということを考えるにあたり「人間とは何か」という問いは避けては通れないし、「人間とは何か」という問いに対するアプローチは多々あるとは思うが、そ…

『頑張って生きるのが嫌な人のための本 ゆるく自由に生きるレッスン』海猫沢めろん

魅力的な題名だ。『頑張って生きるのが嫌な人のための本』。再読だが、二回ともこの題名にやられた。自己啓発本だろうと思いつつも思わず手にとってしまう。だって頑張って生きたくないんだもん。そのうえ、頑張って生きたくない、と自覚してしまう真面目さ…

「サヨナラ」ダケガ人生ダ 『画本 厄除け詩集』井伏鱒二

井伏鱒二といえば『山椒魚』。小説家というイメージが強く、詩はほとんど読んだことがなかった。 それでもどこかで聞いたことのあるフレーズ「コノサカヅキヲ受ケテクレ」「サヨナラダケガ人生ダ」。井伏鱒二が、于武陵の漢詩『勧酒』を和訳したものだ。「人…

広い部屋を持て余す日々。西和夫『二畳で豊かに住む』

学生時代、初めの二年は6畳、その後は8畳の部屋に住んでいた。就職を期に引っ越した先のアパートは、六畳二間の2DK。43平米ほどある、一人暮らしには広すぎる部屋である。南向きの角部屋で、明るさと和室があることが気に入ってここの部屋に決めた。 住んで…

経済成長の先、われわれはどこへ行くのか。『路地裏の資本主義』平川克美

『路地裏の資本主義』を読んだ。角川SSC新書の一冊。普通の新書よりも一回り大きく、行間も広い。新鮮。 本書は資本主義とその周辺について考えるエッセイである。専門書ではない。「路地裏」という題名があるからと言って、直接的に路地裏について語られる…

古川日出男のショートショート 『夏が、空に、泳いで』

本に書かれた情景が、日常のふとした瞬間に立ちあがってくることがある。まるで白昼夢のように。あるいは。ある単語が思い浮かんだと思えば、その単語は脳内を漂い、やがて単語は意味を持った一節となり、そして私はかつて読んだことのある本の題名に思い至…

新生活、読書生活。

今週のお題特別編「この春に始めたいこと・始めたこと」 〈春のブログキャンペーン 第2週〉 社会人になり2週間ほどが経った。桜は散った。ブログの更新が止まっている。読書欲が減退している。 まだ研修期間なので時間的には学生時代よりも余裕がある。それ…

本が読みたくなる 成毛眞『面白い本』

私は今、とても難しい状況に置かれている。 最後の学生生活を満喫すべく本を読みたい。 が、引っ越しに向けて本を処分しなければならない。 こんなとき、人はどうすればよいのだろう。迷った末、とりあえず図書館へと足を運んだ。本は増えず、本を読める。図…