読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

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#小説で振り返る私的2010年代

ツイッターを眺めていたら、面白そうなハッシュタグを見つけた。#小説で振り返る私的2010年代。 2010年から2019年までの各年の私的ベスト小説を挙げていくというタグだ。ベストセラーのリストから時代の空気が感じられるように、かつての自分が夢中になった…

やっぱりミステリは面白い『カササギ殺人事件』(アンソニー・ホロヴィッツ著)【読書感想】

今週のお題「2019年買ってよかったもの」 今村昌弘著『屍人荘の殺人』に引き続き「今更かよ」と言われそうな本を買って読んだ。アンソニー・ホロヴィッツ著『カササギ殺人事件』である。昨年末、国内ミステリ界隈で話題を攫っていたのが『屍人荘の殺人』だが…

共働きに救いはあるか?『夫婦幻想--子あり、子なし、子の成長後』(奥田祥子著)

「妻は変わってしまった」「夫に絶望した」--。取材対象者の多くが口にした言葉からは、目の前の現実から目を背け、「幻想」の中にだけにしか夫婦像を描けない男女の悲哀を感じずにはいられなかった。と同時に、苦悩し、憤りながら、それでもなお、夫婦に…

ミステリ好きこそネタバレ前に読んで欲しい 。『屍人荘の殺人』(今村昌弘著)【読書感想】

さて2019年も末である。この期に及んで私は『屍人荘の殺人』(今村昌弘著)をこのブログを読む方に勧めようとしている。本好きの方なら何を今更と思うだろう。『屍人荘の殺人』世に出たのは2017年の秋のことである。既読の方も多いだろう。 その頃の私は、し…

人を思う重さについて 『夜のアポロン』皆川博子著 日下三蔵編【読書感想】

夜になると、太陽は輝くのです。 ぎらぎらと白く燃え、すさまじいエネルギーを放ち、あたしを、あなたを、灼きつくすのです。 見せてあげましょう。あたしと一緒にいらっしゃい。 (表題作『夜のアポロン』より) 初めて読んだ皆川博子さんの小説は『開かせ…

日記のない日々について

日記についての記事がホットエントリに入っているのが目に入った。そういえば、最近は手書き日記をつけていない。 学生時代や社会人になってすぐの頃は、定期的にとはいかないが、小まめに日記をつけていた。転職の前後もそこそこ書いていたように思う。日々…

呑みながら観た金ロー『アナと雪の女王』【映画感想】

テレビをつけたら金曜ロードショーで『アナと雪の女王』を放送していた。アナ雪と略され一世を風靡したミュージカル調のディズニー映画である。その人気は凄まじく、特に興味を持たなかった私でもアナ、エルサ、オラフといった主要登場人物たちの名前は知っ…

北欧×近代×ミステリ 救いようのない世界を生きる『1793』(ニクラス・ナット・オ・ダーグ)【読書感想】

ブログの更新が滞っている。なぜか。本を読んでいないからだ。個人的な読書記録であるこの個人ブログの更新には、当たり前だがブログ主が本を読む必要がある。その肝心のブログ主はといえば、日常生活に忙殺され、情けないかな、まともに本も読めないでいる…

スパイスカレーと読書。『アリバイ レシピ』(北森鴻著)【読書感想】

久しぶりのブログ更新である。 ブログも更新せず、それどころか読書もせずに何をしていたのかといえば、スパイスからカレーを作っていた。何を思ったのか味音痴のくせにスパイスをまとめ買いしてしまい、それらを有効利用すべくスパイスやカレー関係のレシピ…

2019年GW無計画読書日和

待ちに待った春の連休がやってきた。年明けくらいからゴールデンウィークはどこにも行かないことに決めており、その代わりに本を読んで過ごそうと考えていた。何を読もうか、せっかくだから普段は読めない長い小説が読みたいな、などと想像しては楽しみにし…

Vシリーズを読み返す。森博嗣著『黒猫の三角』

林警部の車種は何か 森博嗣さんの第2長編ミステリシリーズである、Vシリーズを読み返している。しばらく読み返そう、読み返そうとは思っていたのだけれど、本棚に並ぶVシリーズを前にするといつでも読めるという気が起きてしまい、なかなか手が出なかった。…

2019年3月読書まとめ 読書メーターより

小説ばかり読んでいた一ヶ月だった。しあわせ。学生時代のときと同じくらいのペースおよび量を読んだ気がするが、11冊か。意外と少ない。しかし、これだけ小説を読むことが、この先の人生であと何回あるだろうか。本を好きなだけ読める人生は、思っていたよ…

北氷洋捕鯨小説『北氷洋』(イワン・マグワイア著)【読書感想】

発売当初より、書店で見ては読みたいなと思っていた小説をついに読んだ。イワン・マグワイア著の『北氷洋』。もうタイトルからそそる。そして文庫本の表紙絵。白波が立つ海の向こうには氷山があり、その手前には帆船、そして捕鯨ボートに乗った銛打ちと鯨が…

♯私の平成の30冊

Twitterにて「♯私の平成の30冊」なる面白そうなタグを見つけた。せっかくなので自分でも30冊を選んでみた。これがなかなかに難しい。一著者一作品、ノンフィクション系は除外、平成になってからの新訳は選択可というマイルールで30冊を選んだ。選択の基準と…

転職しました(1年ぶり2回目)

人生で2度目の転職と読書生活 人生2度目の転職をして1週間が経った。まだ大した仕事はしていないのだけれども、想像以上に疲れ消耗している。職場の雰囲気は良く、先輩方も親切で、とりあえずひと安心した。この職場であれば、長く働けそうだ。採用頂いたか…

『人形』(モー・ヘイダー著)【読書感想】

「人形」と書いて「ひとがた」と読むサイコミステリ 早川ポケットミステリーからの一冊。モー・ヘイダー著の『人形』を読了。サイコミステリー。タイトルは「にんぎょう」ではなく、「ひとがた」と読む。原題は「muppet」。辞書で軽く調べてみると、「muppet…

2019年2月読書まとめ 読書メーターより

2019年2月は久々に集中して本を読んだ。学生時代と同じくらい読んだのではないかとさえ思う。小説を中心に、積読本や読みかけ途中の本なども順調に読了することができた。このブログも自分にしては結構更新したと思う。 私は趣味のない人間であり、そのこと…

サカナイフSAKAKNIFE (TAPP Craft)購入。ハマチ相手に使ってみた。

サカナイフSAKANIFE(TAPP Craft)購入! 初心者でも簡単に捌けるという噂のサカナイフSAKANIFE(TAPP Craft)を購入した。 サカナイフ SAKAKNIFE(シャープナー・説明DVD付)日本製 (ダークブラウン)出版社/メーカー: TAPPメディア: ホーム&キッチンこの商…

人類のその先へ 『幼年期の終わり』(クラーク著)【読書感想】

SF小説の金字塔のひとつ『幼年期の終わり』(クラーク著)を読みました。言わずと知れた超有名作で、SF初心者の私もタイトルはずっと以前から知っていた。今年の年頭に有名なSF小説『星を継ぐもの』(ジェイムズ・P・ホーガン著)を読んだところ非常に面白か…

海洋冒険小説『引き潮』ロバート・ルイス・スティーブンスン、ロイド・オズボーン【読書感想】

『宝島』の著者ロバート・ルイス・スティーブンスンと彼の義息であるロイド・オズボーンによって書かれた海洋冒険小説『引き潮』を読みました。『宝島』のような子供向けの物語かなとも思いながら本を開いたところ、これが深みのある大人向けの物語だった。…

転職とノート

結局、転職をすることになった(1年ぶり2回め)。dokusyotyu.hatenablog.com 無事、新たな就職先も決まり、3月から通うこととなる。 いずれ機会があれば転職活動のことも書こうかと思うが、地方でも少子高齢化による労働者不足の影響が顕在化しているためか…

不幸になってしまえばいいのに。村上春樹著『国境の南、太陽の西』

不幸になってしまえばいいのに、主人公たちに対し、そんな風に思いながら読んでいる自分に気づいて驚いた。 久しぶりに村上春樹さんの小説を読んだ。中長編小説『国境の南、太陽の西』。実はタイトルだけを見て、紀行文かと思い込み衝動買いしたのであった。…

香菜里屋シリーズ2作目。北森鴻『桜宵』を読む。

この3連休は、本を読むか、漫画を読むか、本棚を整理するかしているうちに終わってしまった。 ある本を少し読んでは別の本を手にするという、集中力のない読書であった。そんな中でも読み切ったのが、北森鴻さんの『桜宵』である。香菜里屋シリーズの第2作目…

2019年1月読書まとめ 読書メーターより

2018年のまとめに引き続き、2019年1月のまとめです。 1月の読書メーター読んだ本の数:6読んだページ数:2170ナイス数:15悪女について (新潮文庫)の感想数年ぶりに再読。一章が適度な長さで読みやすい。読了日:01月10日 著者:有吉 佐和子鋼鉄都市 (ハヤカ…

2018年読書まとめ 読書メーターより

昨年より読書メーターという読書管理アプリを使用している。半年以上使っているが、未だに使いこなせていない。そして先日、まとめ機能があり、しかもブログに貼り付けることができることを知った。おお。 さっそく使用してみる。今更感はあるが、2018年のま…

無意味な人生を送るすべての人々へ 『タタール人の砂漠』(ブッツァーティ著)【読書感想】

〈時の遁走〉がテーマのイタリア発の長編小説『タタール人の砂漠』(ブッツァーティ著)を読みました。 時の遁走、光陰矢の如し、少年老い易く学成り難し、後悔先に立たず、といった言葉を文学の形にすると、このような美しい物語になる。 主人公ジョヴァン…

ロボット三原則と長編SF アイザック・アシモフ著『鋼鉄都市』【読書感想】

第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限…

人生初ジェフリー・ディーヴァー『ウォッチメーカー』 【読書感想】

いわゆるシリーズ物の小説を、シリーズの途中から読み始めることに抵抗はありますか。私はすごくある。シリーズものは頭から読みたい。シリーズものを途中から読んでしまうと、そのシリーズを100%楽しめない気がするからだ。読んでいる本より前に出た本のネ…

一人で過ごす夜に。

結婚を機に二人暮らしになってから、夜を一人で過ごすことががくっと減った。当たり前といえば当たり前である。もちろんそれは苦ではないが、それでも偶に一人で過ごすイベントができるとものすごく嬉しい。例えば今日。夫が友人と旅行に行ったので、このよ…

『戦後ゼロ年 東京ブラックホール』貴志謙介【読書感想】

真っ黒な背景に赤い文字で題名が書いてある。『戦後ゼロ年 東京ブラックホール』はそんな本である。 NHKスペシャル「戦後ゼロ年 東京ブラックホール 1945-1946」を書籍化したノンフィクション。著者である貴志謙介さんはこの番組のディレクターである。 番組…