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読書録 本読みの貪欲

近畿地方の某田舎町で一人暮らし中。

復讐と『未来へ生きる君たちへ』送るのメッセージの間

『未来を生きる君たちへ』という映画を観た。デンマークを舞台にしたデンマークの映画である。私にとっては、初のデンマーク映画。
 スサンネ・ビア監督による2010年の映画である。

 ちなみにアカデミー賞外国語映画賞受賞作品。
 原題(デンマーク語?)の意は「復讐」。しかし邦題は『未来を生きる君たちへ』となっている。ちなみに英題は『In a better world』、より良い世界で、といったところか。

 

 主人公はエリアス少年。いじめられっ子。
 エリアスの父アントンは難民キャンプンの医者。
 デンマークと難民キャンプにおける復讐の物語である。

 

 もし誰かに殴られた時、殴られていない方の頬を差し出せといったのはキリストである。
 もう片方の頬を殴られている限り、復讐は起こらない。
 つまり話はここで終わりである。
 相手を赦して、暴力や憎しみを終わらせる。
 復讐は良い結果に繋がるとは限らないし、気持ちの良いものでもない。一瞬の爽快感の後に、長々と罪悪感を覚える。相手の中には、新たな憎しみが生まれる。
 本映画が未来を生きる私たちへ伝えるメッセージを一言でまとめると「復讐は何も生まない」ということであろう。
 当たり前のことを当たり前に言っているだけである。
 しかしその当たり前のことが、難しい。

 

 尊敬すべき、普段は理性的で情にも深く「正しい」行動をとれる人間であっても、感情や状況によっては復讐という手段をとってしまうこともある。
 映画はその姿も描く。
 復讐という人間の弱さの克服は並大抵のことではない。
「復讐は悪いことだ、そこで我慢することが大事だ」といくら正論を並べたところで状況は何も変わらない。
 自分が当事者になってしまった時にどのような行動を示すのか。
 相手を赦すとはどういうことか。
 逃げるが勝ち、というか、弱いものが強い、というか、結局、復讐の連鎖を止められるのは、復讐された側、被害者のもつある種の優位性と、その優位性に伴い生まれる余裕のようなものなのだろうと思った。

 

 一晩考えても上手くまとめられなかった。
 ほんと、良い映画は雄弁である。