読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

MENU

変な夢を見たので、映画『シャッターアイランド』を観た。

不思議な夢を見た。

ミステリチック(≠ミステリアス)な夢である。
教授風の年取った男と白衣を着た若い女。彼らは連続殺人犯。
男が指示を出し、女が実行する。
第一の殺人の被害者は若い女。
犯人女と被害者女は恋愛関係にある。
二人は暗い個室で抱きあっている。暗闇に白い肌が浮かぶ。
犯人女は心中しようと被害者女を呼びだしたのだ。
犯人女は被害者女を抱きながら、片手で注射器の先のキャップを外す。
そしてそのまま片手で器用に被害者女の肌に注射針の先端を突き刺す。
ぐったりとする被害者。
「奥に置いておけ、明日の夜、片づけよう」
教授が言う。どうやら寒冷地の冬らしく遺体を放置しても腐ったりはしないようだ。
それから遺体は他の実験体の中に紛れ込ませるらしい(ということは彼らは医学部?)
「今年は4人か」
教授は言う。彼らは自らの地位を守るため、優秀な人材を殺していたのだ。
そして事件は、第一の殺人が被害者も死ぬ気でいた(心中するつもりだった)ため、いろいろと撹乱され、捜査は難航する…予定らしい。

以上、クリスマスイブに見た夢。
変な夢にお付き合いいただきありがとう。

目が覚めてみて

夢の影響か朝から「面白い」ミステリが読みたい気分だった。
久しぶりのミステリ熱。
さっそく本屋に行く。
本を選ぶにあたり勝手にしばりを設けた。
「海外物」「面白そう」「ミステリ」「文庫で1000円以下」
……結局選べなかった。
最近の文庫、意外と高いのね。
何故かチャールズ・ブロコスキー『勝手に生きろ!』を買った。
未読だけどミステリじゃないです。たぶん。

で、代わりにDVDを借りた。

マーティン・スコセッシ監督『シャッターアイランド
タイトルから勝手に想像して、ホラーだと思い込み敬遠していたが、よくよくDVDの説明を見るとホラーだというのは勝手な思い込みであった。
原作もミステリらしい。
見てみた。
オチというかトリック自体は、よくあるといえばよくある。
しかし真実が明かされる場面、これがなかなか爽快だ。
一応注意しておく。以下ネタばれ。

私は素直な人間だ。
映画も小説も基本的には疑わずに楽しむ。
探偵が「謎はすべて解けた!」と言ったら、つっこみどころがあろうとも気付かないフリをして「謎はすべて解けたんだな」と気持ちよく納得する。
今回の『シャッターアイランド』も所々アレと思うこともあるが、素直に解釈し楽しんだ。主人公テディは保安官。犯罪を犯した重症の精神病患者が収容されているシャッターアイランドで起こった脱獄事件の捜査のためにやって来た。捜査を進めるうちに、テディは島の医師・看護師・警備員たちが何かを隠していることに気づく。で、いろいろ調査して、ついに真実が明かされる…
という物語。
で、オチはというとテディ自身が妻を殺した殺人犯だったというもの。
治療のため、彼の妄想に島全体が付き合っていたのでした。
叙述ミステリ系。
ちなみに最後の最後ですが、私は、正気に戻ったテディが自ら狂気を装い医者を騙しロボトミー手術を受けられるよう

に仕組んだ、と解釈しました。
ただ引っかかるところもある。
本当にすべてテディの妄想だったのか…など。
すべて島の陰謀だったのではないか、とついつい疑ってしまう。

解釈の幅がある映画、と言えば良いのだろうか。
観客に想像と解釈の幅を与える映画である。
説明されることに馴れきってしまった観客には、不満というか、もやもや感が残るかもしれない。
そのもやもや感、分かり切らなさというのもこの映画の魅力であろう。
解釈の幅を広げるテディの抱えるトラウマと幻想、夢が複雑に入り組み面白い。
ドグラ・マグラ』を読み返したくなるような一言も入ってるという特典付き。

ミステリ好きで見たことのない方は、伏線に目を配らせつつの観賞をお勧めする。
監獄の底からゾンビが出てきたり、観終わった後風呂に入ると何かの気配がするような気がしたりはしないので、ホラー嫌いな人も比較的安心して観られる、と思う。
観ると自らの解釈を誰かに語りたくなること請け合い。

シャッター アイランド  [DVD]