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読書録 本読みの貪欲

近畿地方の某田舎町で一人暮らし中。

就活と本 ドエトエフスキ―『悪霊』

日記 就活関係

地方学生が就職活動にて失うもの。

もそうだが、時間、の消失が甚だしい。
たぶん都会住みの学生の何倍もの時間を「移動」の時間に費やしている。
節約のため夜行バスを使ったり格安航空が運航している空港まで移動したりしているからだ。
東京を出るために、高速バスで5時間かけて隣の空港へまず移動、ということもやったりする。(時間はかかるが、交通費は半額以下になる)

で、この移動時間をどう有効活用するか。
企業研究やら自己分析やらSPI対策やらに費やすべきなのだろう。
分かっている。きっとそれが就活生がとるべき正しい行動なのだろう。
どうもやる気になれなくていけない。
だから私は無い内定なのだろう。
え、まだ四月で、協定的には選考は始まっていない?
喜ばしいことに、すでに希望企業から内定を頂いている友人たちがいる。
現実とは、そんなものだ。

このような不条理に耐えられるように、との言いわけをもって私は本を読む。
膨大な移動時間は、普段読むことのできない大作に挑戦するチャンスでもある。

「私の長所はどのような状況でも前向きに向き合えることです」

自己PR。

「就職活動に伴う移動時間は辛い時間ですが、私(わたくし)はこの時間をドエトエフスキーの『悪霊』に挑戦する時間と前向きにとらえています」

ということでドエトエフスキー『悪霊』を読んでいる。
新潮社江川卓
光文社古典新訳文庫は三冊組だが、新潮社文庫は二冊組(上下巻)で、トータルでは新潮社文庫の方が安かった。
ドエトエフスキーは罪と罰を途中で投げ出した苦い過去があるので、読み切れないのではという恐怖もあったが、あっさりと物語世界に引き込まれた。
ここ2、3年で海外文学に対する耐性はだいぶあがったように思う。
夢中で読んで、下巻の四分の一ぐらいまで読み進んだ。
丁度、工場でストライキが起きたところだ。

と、問題が起こった。
本が、消えた。

『悪霊』は就職活動の移動時間のみで読んでいる。
家や学校でのちょっとした息抜きには別の本を読んでいる。
金曜日の選考時、私は確かに『悪霊』を読んで、フョードルお前どうなんだよ、とか思っていた。
土曜日曜と移動がなかったので『悪霊』は読んでいない。
で、月曜日。
『悪霊』は消えていた。
家中どこを探してもない。
バスの中にでも忘れたのだろうか。
普段本をなくすことなんてない。良い所まで読んでなくすなんて。
なんだか、ものすごく残念である。
もう少し待ったら出てきてくれるだろうか。

今、私は岐路に立たされている。
就職できるかできないか。
『悪霊』を買い直すべきか、買い直さないべきか。

決断は、まだできない。
臆病な私は決断までの時間を延ばすことにした。
新大阪駅の書店にて。
ミラン・クンデラ『笑いと忘却の書』を購入。
就活移動時間、しばらくロシアからボヘミアに移行します。

悪霊 (下巻) (新潮文庫)

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