読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

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【第1回】短編小説の集い一言感想文。テーマB「写真」編

読みました。例にもれず幼稚な感想で申し訳ないのですが、感想文を書いてみました。
記載順は下記公式ページの順番に従います。

『かつて‐そこに‐あった』

『明るい部屋』は未読です。そのため物語の全てを感じることはできなかったのですが、面白く読めました。最後の「腕がうつりこんだ」写真ということは上司と誰かが一緒に撮ったということなのでしょうか。それからぜろすけ様の感想を読んでから、上司の性別が気になってしょうがないです。私は男性だと思って読みました。


『ツナガル』

ド直球ないい話。前作に引き続き、心の汚れきっている私にはどうしても出せない「暖かさ」が文脈から立ち上っています。自分なら同じシチュエーションでシリアス風味な怪奇譚にしてしまうと思う。いい話をいい話として書ききることは凄いことだと思う。それから脇役のピースケがよいと思います。


『ハロウィンの思い出』

出来ごころからの悲劇。オチに驚いた。そりゃないのではと初読時は思いましたが、読み返しながら、もし私がまだ高校生で自分の好きな人の前で粗相をしてしまったら、同じ結末を選ぶかもしれないと思いました。不用意な撮影には気をつけよう。ちょっとした悪戯が誰かを深く傷つけることもある、なんて道徳的なことを書くことは無意味でしょうね。面白かった。


『拒絶する世界』

ストーリーがしっかりしている良作。「行って帰ってくる」構造が綺麗に書かれています。王道なプロットをしっかり書けるのはすごいことだと思う。見習いたい。写真の使いかたもいいと思います。個人的には、最後はカメラを壊してほしかった。でも壊しちゃったら新しい写真は撮れないか。関係ないですが、小説で尾道といえば林芙美子が思い浮かびます。


『写真』

40代というのは微妙な年齢だろうと思います。物語の冒頭部を読んだときは若い女が主人公だと思ったのですが違いました。ネット上の小説は若者が主人公の作品が多いので(あとは子どもや老人など極端な年齢が多い気がします)、新鮮に感じました。十五年の不倫って壮絶ですね。正直想像つかないです。


『原初より連なり満ち満ちる執着』

今回も二作書かれているカルキ水さん。前回、ハロウィンの感想を書いたときは『ダグラ』の方が面白いと書きましたが、今回読み返すと『原初より連なり満ち満ちる執着』の方が好きかもと思いました。優柔不断ですみません。「おそらく一番最初の生命、ちいさな細胞だかなんだかが生まれた時、ソレは消えたくないと願ったのだ」などの哲学チックな言い回しは大好物です。埴輪雄高『死霊』の「分裂を拒否した原初細胞」(だったかな?)あたりの記述が思い浮かびました。


『光に落ちる』

業の深い人間が出てくる小説が好きです。人生最大の不幸を迎えたはずなのに、主人公が達観しているところがよい。主人公は自らの言葉通り地獄に落ちるのでしょうか。落ちない気がします。妻と愛し合わなかったことを、愛した彼女は生き続けることを確認した臨終、それもまた人生。業が深くない人間なんていないと思っています。

全体感想、その他

テーマB「写真」。テーマAの「ハロウィン・ホラー」よりも様々な小説が集まるかと思いきや、意外とそうではなかった気がします。いや、どの作品もオリジナリティーある良い作品なのですが。写真という小道具から想定されるイメージが強いからか、写真に自省を促す力みたいなものがあるのか、内省的な作品が多い気がしました。
実は自分も「写真」をテーマに小説もどきを書きました。宣伝です。リンクを張ります。
それからあとがき的なことを書きます。自分(自文?)語りです。書いた小説で勝負できるほど筆力がないのです。しかも各感想より長い……ごめんなさい。

【第0回】で数年ぶりに小説もどきを書いた。思ったよりも楽しかった。次回も参加しようと思った。その時に、次は「です・ます」調で書きたいと思った。
で、【第1回】。とりあえずテーマは「写真」を選ぶ。ハロウィンで思いついた話は5000字にまとめられそうにない(とある居酒屋で主人公は化狸の話を聞かされる。『てぶくろ買いに』を真似て、子狸を手袋屋に使いに出した母狸。子狸の両手を人間の手に化けさせたのにも関わらず、子狸は手袋屋の人間によって狸汁にされてしまう。そのことを嘆き悲しんだ母狸はついに化狸となって、平成の世になっても手袋屋の末裔を恨み続けている。主人公は成り行きでその化狸を退治することになるのだが……という話。文字にするとつまらないな。それにハロウィン関係ない)ので、とりあえず写真にしようと思った。
はじめに浮かんだのは「写真の真実」という言葉。そこからストーリーを組み立ててた。そしてオチまで決めず書きだした。3000字ぐらいを目標にしたが、だらだらと延びてしまった。書いているうちに主人公をいじめたくなり、結末を決めた。自分なりのテーマは「毒親の連鎖」です。
また同時に「です・ます」調の難しさを思い知った。語尾のパターンが少なく、どうしても単調になってしまう。次に「です・ます」調の小説を読むときは気をつけて読みたい。

もちろん【第2回】があれば参加したい。【第1回】では浮気・不倫や二又を書いた小説がいくつかあり、読んでいるうちに自分でも書いてみたくなった。次は11月末。テーマはなんだろう。今、自分の頭の中にはクリスマスイブのお話が浮かんでいます。