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読書録 本読みの貪欲

近畿地方の某田舎町で一人暮らし中。

今更ながら映画『インターステラー』感想。

観た映画

 年末、映画館へ行ってきた。2014年の見納めはインターステラーだった。今更かよ、との声が聞こえてきそう。昼間にしかやっていないので年末の休み気分に乗じてに行ってきた。年末とはいうものの平日のお昼に映画館。ちょっとした罪悪感もスパイスに、とても面白く見てこれた。
 というか、インターステラー、ものすごく面白い!それから、映画館で見た方がよいスケール感! 時間があったらもう何回か見てもいいな。

ネタばれ感想『インターステラー

 予告編も見ず、噂だけを頼りに見てきた。予告が『アルマゲドン』っぽい、どうやら宇宙なSFらしい、ぐらいの前知識。それでも十分に楽しめた。けれども、けっこう複雑な設定というか、しっかりSFな設定の映画なので、軽く予習しておいた方が楽しめたかもしれない。ワープホールとブラックホールって別物なのね。特異点とか、物理の時間で習った気もするなーなどと思いながらの鑑賞だった。

SF初心者向け。映画『インターステラー』を100倍楽しむための予習用SF作品4つ+α - personalogs.

 こんな良記事もある。私はSF初心者なので、全て未読であった。今年はSF読むぞ。
 あっ、でも、気軽に見ても楽しめます、ホントに。『インターステラー』の監督クリストファー・ノーランの別のSF作品『インセプション』よりはずっと分かりやすかった。『インセプション』、初めて観たときは良く分からなかった……私が馬鹿なだけか。『インターステラー』は馬鹿な私でも混乱せず楽しめた。


 近未来。地球は滅亡の危機に瀕していた。異常気象や疫病の発生で作物は育たず、このままではいずれ植物がなくなり、酸素不足となって、人類は窒息死してしまうだろう。人間に残された道は一つ。惑星移住。元腕利きのパイロットで今は二児の父である主人公は人類が生存可能な惑星を探す旅に出る。

 本映画のSFらしいところといえば、時間の進み方についてだろう。主人公たちは、宇宙空間にいる間、地球人ほど歳をとらない。冷凍睡眠の技術+相対性理論による浦島効果だ。「時間の進み方は相対的だ」といったセリフも出てきた。でも、過去に戻れるわけではない。
 だからこそ、彼らにとって時間は貴重だ。宇宙空間における一時間のロスが、地球では何十年ものロスに繋がる。新惑星発見の前に、地球が滅亡してしまったら元も子もない。
 そしてこの地球と宇宙の時間差が、親子の年齢差を縮めていく。地球で親は老い、子どもは成長する。このあたり、なかなか切ない。


 3時間にも及ぶ大作であり、もちろんメインは宇宙空間や惑星でのあれやこれなのだけれど、宇宙を出るまでの地球での様子やそこでの親子の関わりなども丁寧に描かれている。この親子の愛をはじめ、大切な人を思う気持ちを横糸として、物語は進んでいく。愛をとるか、理性をとるかといったシーンもあり、どきどきしながら観た。

 個人的には、この滅亡に瀕した地球の姿が印象的だった。主人公たちの住む家の周りに広がるのは広大なトウモロコシ畑。多くの人が仕事を捨てて農業を始めていたとの設定と、そんな畑や町々を襲う砂嵐に、こんな滅亡の描き方もあるのかと思った。やっぱり食糧生産は大事。そしてその畑を耕すのは全自動運転のコンバイン。ハイテクなのかローテクなのか。このあたりのバランスが絶妙で、実際の滅亡前の世界もこんなもんなのかもしれないと妙に納得した。

自然の克服。地球がダメなら宇宙へ行けばいいじゃないか。

 ところでこの映画、「人類は滅亡するために生まれたんじゃない」というコピーもあるように、すごく前向きな思想の元に作られている。個人的には人類はいつか滅亡すると思っているし、その方が自然だとは思うのだけれど。科学という人間の力で自然に打ち勝とうという意志を正面から描いたこのような映画は、日本からはなかなか生まれないだろうなと思う。

 この映画には、一篇の詩が、登場人物の口を通し繰り返し挿入される。

穏やかな夜に身を任せるな。

 調べてみると、この詩はトマス・ディランの『Do Not Go Gentle Into That Good Night』というものらしい。老いへの抵抗、絶望への抵抗を歌った歌である。欧米人にとっては、死とは戦い、打ち勝つべきものなのかもしれないなと思う。
 私は、滅亡すると分かっていながらも、最後の日々を家族と住みなれた家で過ごそうとした主人公の息子トムに共感した。「穏やかな夜に身を任せ」、抵抗しないことは、そんなに悪いことじゃない気がする。まあ、そうすると、物語は進まないのだけど。

インターステラー (竹書房文庫)

原作本?ノベライズ?本も出てるのね。