ようやく読んだ話題作。ピエール・ルメートル『その女アレックス』【読書感想】
久しぶりのミステリとして前々から気になっていたピエール・ルメートル『その女アレックス』を読んだ。フランスミステリ。雑誌やブログで絶賛されているのを読み、昨年の秋ごろから読みたいと思っていた。本屋に行くたびに、文庫ベスト棚に並んでるのを見ていた。がついに。先日、関西の方へ行った際、飛行機と電車のお供として持っていった。
印象シーンの目白押し
読んで四日ほど経った今、一番印象的なのはアレックスの監禁シーンである。それから、最後に明かされた彼女の虐待の痕跡。いやあ、グロい。いや、書き方は淡々としており、そのショッキングさを殊更強調はしていないのだけど、その惨い現場を想像してしまった。想像力が豊かであることも考えものである。出てくるネズミさんは30cmだったそうで、大きいなあ、ちょっと想像していた「ネズミ」と違うなどと思った(今まで見た一番大きいネズミは20cmぐらいだったと思う)。尻尾の長さは入るのだろうか。
また虐待のシーンは、ケッチャムの『隣の家の少女』を思い出してしまった。今冷静に考えると、そこまで繋がりはないのだけれども……いや、あるのか? とにかく、グロい描写が苦手気味な人は注意して読むことをお勧めします。
ところで、この作品が評価されているのはそのプロットらしい。確かに普通の作りのミステリではない。ただ、最近、訳の分からない不条理な小説ばかり読んでいるせいか、そこまで意外に感じなかったなかった。物語が飛躍しまくっているわけでもなく、すんなり読めました。ミステリ、サスペンスとはこういうものだ、という既成概念があると意外に思うのかな。「意外な展開!」との煽り文句に、読んで驚かされることを期待していたので、ちょっと残念ではあった。
ただし、爽快感はある。最終章、物語は急加速する。次々と明かされる過去、真実。驚きの発見というよりも、納まるべきところに納まったなというような感じ。これはこれで気持ちが良い。