読書録 本読みの貪欲

近畿地方の某田舎町で一人暮らし中。

読まねば、な気分

『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃいけないんだ』

 という心惹かれる題名の読書エッセイがある。

 読書好きなら、誰もが一度は書店でこんな気持ちになったことがあるのではないだろうか。この本屋でこの本を買うのは私ぐらいしかいないのではないか、これは読まねば、という奇妙な義務感。
 そんな本に出会うたび、脳内にこの書名が浮かぶ。

 
 先日、本屋ではないか図書館で、とある本に出会い「読まねば」な気持ちになった。
わが町の図書館で本を探していると、これ、まだ、誰も読んでないんじゃないか、と思える本に出会うことがある。明らかに綺麗で、ページを開いたときに新刊特有のパリッとした感触がある。新刊コーナーだけではなく、一般の書棚でもそのような本に出会えたりする。正直、うれしい。たまたま買った宝くじに当たった気分、というところか。もちろんそれが本当に誰も開いていない本かどうかの確証はない。一番のりかもと思って読み始めても、途中のページにちょっとした癖がついていて、二番手以降だと知ることもある。
しかし、今回出会った本は一味ちがった。
前からいつか読みたいと思っていた本が文庫本になって棚に並んでいた。思わず手に取り、表紙を見て驚いた。そこには一枚のシールが貼ってあった。

「2015年貸出回数0回」

裏表紙を開き、出版年を見る。2015年。あらためて本を見てみる。綺麗だ。ページの角がまだ立っているような気がする。2016年になってから借りられている可能性ももちろんあるが、「貸出回数0回」なんて書かれている本を見過ごすことができるだろうか。いや、できない。

借りて、読んだ。
本好きなら知らない人はいないだろうという著者による本で、文庫化までされているものだ。もちろん、おもしろかった。

早くこんなシール剥がしてもらえればいいな、と心の中で本に声をかけ、そっと図書館に返却してきた。

だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ

だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ

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