読書録 地方生活の日々と読書

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森博嗣『私たちは生きているのか?』読了。【読書感想】

最近、森博嗣のWシリーズを履修している。2018年も半分が終わろうとしているが、今年の読書目標「SFを読む」が、ぜんぜん達成出来ていないので、読みやすいしいずれは読むことになると思われる森博嗣講談社タイガ文庫を、梅雨の合間の晴れた日曜日に引きこもって読んでいた。とりあえず前半5作目まで読了。

今年読んだ数少ないSFのひとつは、神林長平の『あなたの魂に安らぎあれ』で、同じようなテーマ(アンドロイド・ウォーカロンと人間の対比、人間・生命とは何か)を扱っているにも関わらず、作者によってこうも書き出し方や読みやすさが違うのか、と思った。タイガ文庫の色もあるだろうか、このWシリーズは非常に読みやすい。

Wシリーズの5作目にあたる本作は、日本語タイトルがテーマをど直球で表している。一方で英語タイトルが、『Are We Under the Biofeedback?』となっており、日本語の「生きる」という言葉が内包する曖昧さが明確にされており、なんだかとても好きだ。この問いには、ウォーカロンも人間にもYESと答えるしかないよなと思いつつ、文庫本を読み進める。すると、「人間的」であることや「知性的」であるためには、「Under the Biofeedback」である必要はないよな、ということに思い至る。デボラは知性的で人間的(であると私は思った)であるが、生物ではない。つまり、人間であるには、生物である必要はないのか。うーむ。

ところで、このWシリーズ、だんだんと「人間的」になっていく主人公のボディガードのウグイ(と、主人公ハギリとの関係)がとても好きだ。と、書いて、今、wikiを見たら、「昇進により、6作目から現場を離れる」とある。まじか。

それからこのシリーズ、読んでいくと森博嗣の過去作品、特に『有限と微小のパン』と『赤目姫の潮解』を再履修したくなる。どちらもWシリーズに比べて、読むのに骨が折れた記憶があるけど…

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