読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

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海外の物語

『昔も今も』サマセット・モーム

人生2冊目のサマセット・モームである。『昔も今も』。 1冊目はだいぶ以前のことだが東北へ行った際(宮沢賢治は好きですか? 花巻・宮沢賢治記念館に行ってきた! - 読書録 本読みの貪欲)、電車に揺られながら読んだ本である。 雪景色を見つつ、ルネサン…

『人間の土地』 (サン=テグジュペリ著) 解説は宮崎駿さん。【読書感想】

ぼくら人間について、大地が、万巻の書より多くを教える。理由は、大地が人間に抵抗するがためだ。人間というのは、障害物に対して戦う場合に、はじめて実力を発揮するものなのだ。 (p7) 壮大なタイトルである。そして『人間の土地』はこのような壮大な書…

『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』 ジュノ・ディアス

良い本はその一冊の中に様々な要素を内包している。今更ながら読んでみた。 とにかく面白かった。この本を一言で言い表すことは難しい。 「とにかく読んでみて、すごいから」 誰にも勧めたくなる本、と言うのが一番かもしれない。 小説好きを自認する方は必…

週末読書 『葬送の庭』タナ・フレンチ

土曜日。 15時過ぎ。車で図書館に向かう。 その時間にしては珍しいことに、駐車場が満杯で、駐車場前には空車待ちの列ができていた。 まあすぐに空くだろう、待つこともあるまい。 スーパーで少し時間をつぶすことにする。スーパー内を一周し、揚一番やらシ…

大人の童話もどきの変な本 『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』アンドリュー・カウフマン

装幀に惹かれて手に取る本がある。 本書も真っ黄色の背景に、黒色の変わったフォントで書かれたタイトル、という姿が目を引いた。 しかもそのタイトルが『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』 原題は『The Tiny Wife』 これは日本語題をつけた訳者が偉…

衝動と運命について 『月と六ペンス』 サマセット・モーム【読書感想】

文学作品、と聞くと身構えてしまう。サマーセット・モーム作『月と六ペンス』、高校の国語便覧にも載っていた作品だ。 出ているレーベルも新潮文庫や岩波文庫や光文社「古典」新訳であるし、私が手に取った新潮文庫の帯に書いてある同一シリーズには、ゲーテ…

『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ

あけましておめでとうございます。 本年度の目標は、途中まで読んで挫折した海外文学(『魔の山』とか『城』とか)を最後まで読了することです。 どうぞ長い目でお付き合いください。さて、去年読んだ本の中での一押し、カズオ・イシグロ『わたしをは離さない…

ジョン・ハートの処女作『キングの死』を読んでみた。

今年は正月らしいことは何もしない、と決意した。 お世話になった方への挨拶と年賀状ぐらいしかしない。 しかし寝正月とも揶揄される年末年始の怠惰なる雰囲気にだけは便乗しようではないか。 本年の図書館納めも無事終えた。 十分な本と、読書のお供の洋酒…

死にたくないけど… トルストイ『イワン・リッチの死』

題名の通り、イワン・イリッチという名の主人公が生まれてから死ぬまで、特にちょっとした原因が死病となり、身体的・精神的な苦痛を経験しつくす過程を記した物語である。 物語はイワンの葬儀の場面から始まる。そこでイワンの妻により、主人公イワンは苦し…