読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

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「この本があれば人生だいたい大丈夫。」 BRUTUS 2014 1/1・15合併号

いや、もうほんと、このキャッチコピーはずるい。
買うしかないではないか『BRUTUS 2014 1/1・15合併号』。
表紙のコピーは続く。
「小説、伝記、絵本、詩集、写真集…ココロが軽くなる257冊」
今号のBRUTUS、本特集2014である。

内容紹介。

まずメインの特集として「嫌われたって」「全部"無駄"でも」「都会じゃなくても」……「大丈夫。」という言葉と、作家や文化人によるインタビューもしくは対談が掲載されている。そしてそれぞれの言葉に合わせた本が紹介されている。
とりあえず就活生としては成井昭人インタビューによる「就職しなくても大丈夫。」が気になった。
小中高大学とレールを辿ってきた。
レールの先は不意に消え、そこには多様な生き方が広がっていた。
さてどうするか。
とりあえずお勧めの私小説川崎長太郎『抹香町・路傍』を読んでみたい。

続いて「5人の作家の「それでもダイジョブな生き方」というコーナー。
今は亡き作家の著作3編と作家自身について書かれた本2冊が紹介されている。
中勘助銀の匙』と中島らも『今夜すべてのバーで』をチェック。

それから詩・絵本・写真集の紹介コーナーもある。
なかなか詩集や写真集を集めて紹介している本はない気がする。
アンドレ・ケルテス『読む時間』という読書の姿を写した写真集があるそう。見てみたい。
本を読むのは私だけではない。

付録は「年末年始、家と旅を楽しむ本」。
写真がオシャレ。本のある風景が素敵だ。
ところで同じ本のある風景でも、既読本と未読本がごっちゃになって溢れて散乱している我が部屋とは大違いである。

この雑誌を俯瞰してみる。

文学ガイド的な本や、作家のお勧めする本の本とは、少し違った視点で本がセレクトされている気がする。
受ける感覚としては、文学ガイドを読むことが図書館で本を探すのに似ているとすると、このBRUTUSを眺めことは本屋をぶらぶらすることに似ている。
衝動的な「読みたい!」を刺激するというか。
本屋での偶然の出会いにわくわくするような気持ちがした。
岡崎京子『pink』読みたい!

そして私の「本を読むこと」を考察してみる。

このコピー「この本があれば人生だいたい大丈夫。」に惹かれたということは、このコピーの中に、私が本を読む理由を見つけられるかもしれない。なんて少し思ったからだ。

私は本に「人生だいたい大丈夫。」と言われたいのか。
大丈夫と言われたい、誰かに保証してもらいたい。
何故なら、不安だから。先の見えない人生が。
もしかしたら明日にでもありとあらゆる物事が変わり、理不尽な状況の中、生き抜かないといけなくなるかもしれない。

人は誰も、誰かの人生をも保証することができない。
人だけではなく、金も肩書きも社会も縁もあらゆる物も、私の人生を保証しえない。
もちろん本だって、いくら読んでも何の保証もしてくれない。
何の保証もない、不確定な未来を私たちは生きていく。
どちらの方向へ進むべきか、正解はない。やり直しも出来ない。
だからこそ、物語や一人の人の人生から、少しでも多くを感じたい。
正解ではなくとも、自分が納得できる答えはどこかの行間に埋まっているかもしれないから。

いや別にいつもそんな深刻に生きて読書しているわけではないが。
でも、だから、私は今日も本を読む。

抹香町・路傍 (講談社文芸文庫)