読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

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2013年に読んだ本(約250冊)からBest5を紹介してみる

2013年が終わる。
読書ノートを見返してみる。
この一年で読んだ本たちの名前を眺める。
印象深い名前もあれば、初めて見たような本もある。
これらの本は私に何を与えてくれたのだろう。
本を読む前後で私の何が変わったのだろう。

そんなに変わっていない気がする。
だとすると今までの読書は無駄だったのか。
私はこの一年、読書に何時間費やしたのだろう。

それでもこの一年読んだ本の中には、日々の生活のなかで、ふとその印象が立ち上がってくるような本もあった。
一年の総決算としてそれらの本の紹介をしていきたい。
だらだら書いても仕方がない。
「海外文学」「国内文学」「ミステリ」「新書」「その他」の5分野から各一冊、という縛りを勝手に設ける。
一応注意。下記の本は私が2013年に読んだ本であり、2013年に発売された本ではない。

海外文学

迷う。が、ここはカズオ・イシグロの『私をはなさないで』を押す。
映画化もされているようだ。
主人公たちの運命が明かされるラストシーンも良いが、そのような運命下でも普遍的である少女たちの微妙なパワーバランスの基にある友情の描写が良い。
ちなみにハヤカワepi文庫で読んだ。
この文庫シリーズのデザインも好み。

次点でジョン・アーヴィングホテル・ニューハンプシャー』。
作中に出てくる熊のアールがものすごく好き。
アール飼いたい。将来動物を飼うことがあったら是非アールと名付けたい。  

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

国内文学

ノートを見返すと、国内の小説を思ったよりも読んでいなかった。
ここ数年、小説は海外の物が中心に読んでいる。「桜庭一樹の読書日記」の影響である。
そんな中、一番の収穫は倉橋由美子に出会ったことだろう。
何冊か読んだが今のところの一番は『城の中の城』。
前後のシリーズ物がまだ未読なので非常に読みたい。近所の本屋には売っていない。
ネットで買うしかないのか……

城の中の城

城の中の城

 

ミステリ

衝撃度が一番高かったのはジャック・ケッチャムの『隣の家の少女』
衝撃すぎて読み返したくない。そもそもミステリではないか。
純粋にミステリとして面白かったのは、サラ・ウォーターズの『半身』。
1800年代末の英国とその監獄の雰囲気が良い。
そして雰囲気と結末のギャップが素晴らしい。
このミス2004の海外部門1位らしい。2014年に読んでも全然問題ない面白さ。

半身 (創元推理文庫)

半身 (創元推理文庫)

新書

命とは何か、人生とは何か、という哲学的問いを考えるとき、理系の知識も補助線として必要だと感じる。
田沼靖一『ヒトはどうして死ぬのか 死の遺伝子の謎』が分かりやす説く、性と死の関係がちょっとした衝撃だった。
個々の話は授業で習ったこともあったが、それらを命の総論としてつなげて考えたことがなかった。
深く納得すると同時に不思議な気分になった。
私はどうして生きるのだろうか。
問いの答えはなかなか見つからない。

ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)

ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)

その他

小説でも新書でもない本から一冊紹介する。
多くの人に読んでもらいたい良書としては濱田武士『漁業と震災』と取り上げたいが、ここでは自分の中のステレオタイプを打破し視界を広げてくれたアビジット・V・バナジー、エスター・デュフロ『貧乏人の経済学』を紹介する。
グローバル社会と呼ばれる全地球人が関わるこの世界への見識を深めてくれる一冊。
人間は結局人間であり、それ以上でもそれ以下でもない。

貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を根っこから考える

貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を根っこから考える


以上、5冊の紹介でした。
来年も面白い本に出会えますように。