現代語訳!豪華訳者陣!『池澤夏樹=個人編集 日本文学全集』が欲しい
本屋および図書館の棚の一角を占めるカラフルな本たち。
『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集』全30巻だ。
読もう読もうと思いつつ、まだ『ロード・ジム』と『存在の耐えられない軽さ』と『巨匠とマルガリータ』しか読んでいない。ハードカバーで、それなりに厚さがあるので、手に取るには勇気と勢いと時間が必要だ。全作品を制覇し、この全集に関連するエッセイ(?)『池澤夏樹の世界文学リミックス』を読み達成感に酔いたいのだけれど、臆病で怠惰な私にはなかなかハードな道のりだ。手に取れば面白く読めるのは分かるのだけど、そこまでが遠い。
そうこう言っているうちに、新たな全集が出てしまった。
『池澤夏樹=個人編集 日本文学全集』全30巻。
世界の次は日本か。そうきたか。世界文集の方は第二次世界大戦以降に発表された本という縛りがあったが、日本編の方は古典も入れるらしい。
書店でポスターを見て気になってはいたのだけれど、一巻目から『古事記』という気合いの入りようを見て、今の自分にはまだちょっといいかなと敬遠していた。古典……古典教養のある人間への憧れはあるのだけれど。憧れだけで終わりそうだ。
なにげなく新聞を読んでいたら、文化コーナーにこの全集が取り上げられていた。
記事を読む。と、重大なことに気づいた。というか、今まで気づいていなかった。
この全集に掲載される古典、なんと、現代語訳なのだ。
しかも訳者が、現代の売れっ子作家。軽い文体で若者に人気(というイメージ)のあの作家さんまで、古典訳をしている!
忘備録がわりにメモ。
江戸時代までの作品は現代語訳みたい。ほとんど新訳。現代語訳の作品を抜き出してみた。
1巻 古事記 池澤夏樹 訳
2巻 口訳万葉集 折口信夫
百人一首 小池昌代 訳
新々百人一首 丸谷才一
3巻 竹取物語 森見登美彦 訳
伊勢物語 川上弘美 訳
堤中納言物語 中島京子 訳
土佐日記 堀江敏幸 訳
更級日記 江國香織 訳
4巻 源氏物語 上 角田光代 訳
5巻 源氏物語 中 角田光代 訳
6巻 源氏物語 下 角田光代 訳
7巻 枕草子 酒井順子 訳
方丈記 高橋源一郎 訳
徒然草 内田樹 訳
8巻 今昔物語 福永武彦 訳
宇治拾遺物語 町田康 訳
発心集・日本霊異記 伊藤比呂美 訳
9巻 平家物語 古川日出男 訳
10巻 能・狂言 岡田利規 訳
説経節 伊藤比呂美 訳
曾根崎心中 いとうせいこう 訳
女殺油地獄 桜庭一樹 訳
仮名手本忠臣蔵 松井今朝子 訳
菅原伝授手習鑑 三浦しをん 訳
義経千本桜 いしいしんじ 訳
11巻 好色一代男 島田雅彦 訳
雨月物語 円城塔 訳
通言総籬 いとうせいこう 訳
春色梅児誉美 島本理生 訳
12巻 松尾芭蕉 おくのほそ道 松浦寿輝 選・訳
与謝蕪村 辻原登 選
小林一茶 長谷川櫂 選
とくとく歌仙 丸谷才一 他
おおお。すごい。訳者効果すごい。
好きな作者が訳しているものは、やっぱり気になる。
特に、桜庭一樹訳『女殺油地獄』、古川日出男訳『平家物語』が気になります。
ミステリ・SFといったジャンル小説の作家さんから純文学作家さん、エッセイ作家さんまで、ほんと広い人選である。これは楽しみだ。
近代~現代の部も面白そうだ。明治の作家から昭和の作家まで。
個人的には吉田健一の巻があるところにポイントをつけたい。収録作は「文学の楽しみ ヨオロツパの世紀末 他」だそう。
26-28巻の「近現代作家集」にどんな作家の作品が入っているのかも気になる。HPによると「この百年の間に書かれた傑作、今こそ読むに価する名作を、もっぱらモダニズムの尺度から選んで供する。」だそう。
問題は、値段と置き場だ。
とりあえず値段。
30巻全巻一括払い特価78600円。バラバラに買うよりも10%もお得!
……78600円?2か月分の生活費?1000円の新書78冊分?500円の文庫本157冊分?100円の古本785冊分?
どうやら置き場の方はしばらく考えなくてもよさそうだ。
図書館で借りるか……でも、自分の家の本棚にずらっと並んでいたら気持ちいいだろうなあ。
日本文学全集も全6色でカラフルだった!