読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

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倉橋由美子『シュンポシオン』

本が溜まっていく。

 このところ、買ったり借りたりする本>読む本、なので、部屋にどんどんと未読本が溜まっていく。読もう読もうとは思うものの、無理してまで本は読むものでもなく、とすれば、寝る前の30分読書で消化できる量はたかが知れており、その結果として積読本の山は日々高くなる。

 昨年秋からの積読本、倉橋由美子の『シュンポシオン』を読了した。
 なんとも感想を書きにくい小説で、ブログに書く事は躊躇われたが、せっかくなのでこのように書いておく。だいたいにおいて、私にとっての倉橋由美子の小説は一言で感想が言い表せるようなものではなく、だからこそ好きなのだが、この物語は特になんとも言い難い。
 『シュンポシオン』は、『城の中の城』などの桂子さんシリーズの最終作で、シリーズを通した主人公の桂子さんはすでにお祖母さん。『シュンポシオン』では桂子さんの孫世代の男女のひと夏の恋愛事情を中心に物語が進んでいく。
 が、もちろん倉橋由美子の書く小説が、普通の「恋愛小説」となる訳はなく。
 舞台は近未来。その夏の日本は核戦争と大災害の予感に満ちていた。が、桂子さんたち登場人物が属するアッパー階級は、そんなことはお構いなく、古典的厭世的かつ教養に溢れた避暑を楽しんでいる。
 と、なんと、それだけの話である。シュンポシオンとはギリシャ語で饗宴の意。まさしくそれだけの物語。
 うーん、なんと言えばいいのだろう。
 世界は、日本は広いな、と思えばいいのだろうか。もしかしたら、私のような庶民には想像もつかない世界が、この日本にもあるのかもしれない、そんなファンタジーな気分になる。そこに住む男女は美男美女揃いで古典教養に通じており、もちろん音楽や食に対する造詣も深い・・・・・・なんというか、物語の内容よりも、自分の生活の底辺具合が嫌になるような読書体験だった。
 

 あんまり良い精神状態で本を読んでいないなと思う。
 読書に集中しきれない日々が続いている。もしかしたら読書に没頭できた幸せな日々は、もう自分の元には二度とやってこないのかもしれない。
 そんな気までしてしまうほど、集中力と余裕を欠いた日々を送っている。
 就職して、モラトリアムが終わってしまったのだろうか。自分のバイオリズムと本の内容がうまくかみ合わなかっただけだと信じたい。

・本を買ったときに書いたブログ記事がありました↓

dokusyotyu.hatenablog.com

読書録

『シュンポシオン』
著者:倉橋由美子
出版社:福武書店
出版年:1985年

シュンポシオン (新潮文庫)