結婚前夜に読む本【読書と人生】
実は明日結婚する。
「結婚前夜」と聞くと、「ドラえもんのび太の結婚前夜」が浮かぶ世代なのだが、現実の結婚前夜はアニメのようにドラマチックではない。親と同居しているわけではないので涙の別れはないし、そもそも式も披露宴もしない。流行りのナシ婚。入籍だけだ。遠距離恋愛からの結婚なのだが、入籍後すぐに同居をするわけではない。明日以降も一人暮らしの生活が続く。
今日だって、ごく普通に仕事に行き、ごく普通に仕事をこなし、ごく普通に帰宅し、一人で食事をとり、今この文章を書いている。あっ、でも久しぶりに定時で帰れたので、帰りに本屋には寄ったか。
結婚前夜、どんな気分で過ごすのだろう、と思っていたが、今はごくフラットな気分だ。
さて、これからどうしようか。
本を読もう。
何を読もうか。読みかけのトルストイ『戦争と平和』か、今日買ってきた田中圭一『うつヌケ』か(ああ、結婚したらこのような本や自己啓発書はどこで読めばいいのだろう!)、それとも最近婚約者にもらった前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』か。仲良くなるきっかけとなった伊藤計劃『虐殺期間』か。
あるいは今の気持ちを正直に、アナログのノートに記しておくべきか。
結婚しようがしまいが、私の人生は続いていく。しかし確かに、明日は私の人生において、一つの明確な区切りとなることだろう。
一時期、毎日のように「自分の人生は失敗だった」と思っていた。今も「自分が幸せになれるわけがない」という思いは心の底にあるが、今は「幸せになれなくとも構わない」と開き直ることもできるようになった。この幸せになれない私の人生がどこに行きつくのか、今の段階では分からないけれど、私は私の人生を徹底的に見届けようと思う。