読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

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関西人ですが『東京防災』買いました

今週のお題「わが家の防災対策」

先日の台風はすごかった。台風通過日は、仕事を早退して、雨戸を締め切った部屋に籠っていた。

お昼過ぎ。風は一層強くなり、部屋が揺れた。雨戸には何か重いものが当たる音が幾度かし、外の様子が気になったものの雨戸を開ける訳にもいかず、集中できないままに小説を開いていた。
と、いきなり、目の前が真っ暗になった。停電。真っ暗というのは比喩ではない。雨戸を閉めきった部屋には光源がない。風の音が唸る部屋の中、懐中電灯を探す。つける。懐中電灯は強力なLEDライトのはずだったのだけれど、その光は台風の中、とてつもなく心細かった。
さて、どうしようか。停電になると本すら読めないのだ。何故か電子書籍であるキンドルも不調で使えない。とりあえず、水道が止まっていないことを確認し、ガスの元栓をきった。本当であれば、停電した時点でブレーカーを落とすべきだったのだけれど、当時はその知識はなかった。
外部の情報が気になった。停電の前は、テレビで台風のニュースを流しっぱなしにしていた。情報を得たところで、台風が去る訳ではない。それでも情報から遮断されると、不安だった。普段どれほど「情報があること」に依存しているのか身に染みた。部屋にはラジオがなかった。

夕方。台風が去った。雨が止み、風が収まった。停電は回復していない。少し不安だったが、雨戸を開けた。外は明るかった。隣の家の壁が飛んで無くなっていた。近所の人の声が聞こえた。フロントガラスが割れた、屋根が飛んだ、猫がいなくなった。露天の駐車場に止めていた車を見にいった。何やら固く四角い物が当たったらしく、車の屋根が凹んでいた。夜、職場に留まっていた上司からガラス屋根が落ちた、シャッターが壊れた、という連絡がきた。それでも被害といえる被害はそのくらいで、身内や知り合いの怪我もなかったのは幸いだった。停電は結局その日は回復しなかった。私たち夫婦は一晩の停電にも耐えられず、車で30分ほどの距離にある、停電しなかった義実家宅にお世話になった。

そして台風が過ぎたと思ったら北海道で大地震だ。いやでも災害に対する意識が上がっていた。

そんな折り、普段仕事帰りによく寄る本屋で見つけたのが『東京防災』だ。この本の存在はインターネットを通して知っていた。さすが東京はすごいなあ、全戸配布かと思ったのを覚えている。
それが普通に関西の田舎町の本屋に並んでいるとは。『東京防災』は、A5サイズの黄色い冊子であった。「小」冊子ではない、冊子だ。300ページ以上もある。値段を見ると140円。パラパラと捲ると、『東京防災』のタイトルに反して東京以外でも役に立ちそうである。思わず、購入。


↑厚い!

家に帰って、改めて読んで驚いた。とにかく詳しい。「大震災シュミレーション」といういざ地震が起きた時にどのように身を守るべきなのかということから、食器やハエ取り器の作り方、ロープの結び方といったその後のサバイバルに役立つ知識、さらにその後の生活再建に向けての行政手続きの方法まで、しっかりと書かれている。災害自体も大地震だけではなく、大雨暴風や火山噴火といった天災やテロ・武力攻撃、感染症について記述されている。

もちろんこの本に書いてあるような防災対策は、インターネットで調べると簡単に知ることができるだろう。しかし災害時には、情報、とくに信頼できる確かな情報は、何にしても貴重であることが、先の台風を通して身に染みた。インターネットから隔離された際、この冊子は何にもまして、お守り代わりになってくれるだろう。

防災・減災の第一歩は、まずは知ることだ。この本を家族で読み込もう。備蓄品を見直そう。地域のハザードマップを確認しよう。それからラジオとソーラーパネル式のモバイルバッテリーを買おう。
いずれ私の住む町は、東南海地震でめちゃくちゃになるだろう。その時に生き残るために、できることをやっていこう。