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カーアクション限界突破! ジョージ・ミラー監督『マッドマックス』【映画感想】

 今更ながらマッドマックス 怒りのデス・ロードに興味を持った。水耕栽培シーンがあるらしい。『怒りのデス・ロード』は、マッドマックスシリーズの4作目ということなので、とりあえずシリーズ最初から観てみようかなと思い、一作目を鑑賞した。ちなみに映画館で『怒りのデス・ロード』を観た知人は、マッドマックスシリーズはまったく観ていなかったが普通に楽しめたとのこと。27年ぶりのシリーズ新作だそうなので、前作を観ていない観客を視野に入れた作りになっているのだろうと推測。

 しかし、せっかくなのでやはり一作目から観た。Amazonプライム・ビデオで無料で観ることが出来たのも大きい(2018年10月時点では、三作目までは無料で観られる)。

暴力が身近な近未来。マックスの世界

 『マッドマックス』は1979年に公開されたオーストリアのアクション映画である。監督はジョージ・ミラー。この作品は監督の長編デビュー作でもある。映画は「今から数年後」という文字から始まる。近未来の秩序が崩壊しつつある、無法者たちが跋扈する世界で物語は展開する。
 物語の筋は単純だ。ナイトライダーを名乗る暴走族が警官を殺した上、警察車両を奪略し、暴走した。主人公である警官マックスが、同僚らと共に追い詰めた結果、ナイトライダーは事故死してしまう。それを良く思わなかったトーカッター率いる暴走族仲間は警官たちに復讐しようとする。そのいざこざにマックスや彼の家族は巻き込まれて…という話。
 まず、冒頭のカーアクションが目を引いた。なんというか、最近の映画にはあまりない乱暴さ。CGが発達していない時代の映画なので、全て実写のアクションだ。暴力感がヒシヒシと伝わってくる。車もバイクもぶつかり、壊れまくる。特に印象的だったのが、暴走族がカップルの乗った車をボコボコにするシーン。そのボコボコ具合が半端ではなく、車って鉄の物体に過ぎないのだな、と改めて思った。最近の映画でも、車が銃撃を受けたり、爆発に巻き込まれたりする映画は多々あるが、鈍器で殴り倒される映画はあまりないのではないか。ちなみにwikipediaによると、日本語吹き替えのテレビ放送版のタイトルは『激突また激突!カーバイオレンス限界描写 マッドマックス』だそう。確かに映画をよく表した副題ではある。しかしどうなんだろう、このタイトル…私はまったく惹かれないのだけど…80年代の感覚は現代とは大きく異なっていたのかもしれない。

 一方で、マックスの「マッド度」というのは、そこまで高くないように思った。確かに、最終的にマックスが選んだ手段は脱法的であり、褒められたものではないが、その行動原理は理解できる。(一方で、暴走族たち、特にナイトライダーがどうして暴走しているのかはよく分からなかったのだけれど)。「マッドマックス」というタイトルであるが、もしかすると「マッド」な「マックス」という意味ではなく、彼を取り巻く環境=荒廃した近未来、暴力が身近にある近未来が「マッド」であるということかもしれない。ところでこの世界、近未来という設定のはずだが、そこはかとなく漂う80年代感。21世紀の目で見ると、どうしても「今から数年後」に思えない。ひと昔前のどこまでも治安の悪い街で、暴走族が暴れているという映画に感じてしまう。警察や商店、駅があり、暴走族もちゃんと服を着ているので、あくまでも現実と地続きな世界という感じがするのかもしれない。
 それが、2作目になると一変するのだが……治安の悪い街から、終末の世界へ。これぞ、ディストピア
 
 そして、この2作目がとても面白かった。いずれまた、感想を書きたい。