読書録 本読みの貪欲

地方在住三十路女の読書日記。趣味が読書と言えるようになりたい。本のほかには犬と魚が好き。

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ミステリ好きこそネタバレ前に読んで欲しい 。『屍人荘の殺人』(今村昌弘著)【読書感想】

 さて2019年も末である。この期に及んで私は『屍人荘の殺人』(今村昌弘著)をこのブログを読む方に勧めようとしている。本好きの方なら何を今更と思うだろう。『屍人荘の殺人』世に出たのは2017年の秋のことである。既読の方も多いだろう。
 その頃の私は、しばしばツイッターで本についての情報を収集していた。一昨年の年末年始、私のタイムラインは『屍人荘の殺人』の話題が毎日のように流れていた。近所の本屋にはいつ見てもこの本が平積みされていた。
 捻くれ者の私は、ベストセラー、話題の作は「話題になっているから」という理由だけで読まないことが多い。しかし、さすがにこの本は気になった。賛否はあれど、それでも絶賛している人が多い。賞も取っているようだ。それよりも何よりも、入れ替わりの激しい本屋の平積み棚の一角を常に占めているというのは只者ではない。
 この夏、文庫化されているのを本屋で見つけ、遂に購入した。
 読んだ。
 一気に。
 これは、面白い。

 面白い。が、私は面白い以上の感想をここでは書けない。何故ならば、何を語ってもネタバレになってしまいそうだからだ。

 この本はミステリである。
 ミステリの魅力と言えば、驚きである。だからこそ、我々読者は何よりもネタバレを避けて生きていかなければならない。
 『屍人荘の殺人』は正統派ミステリであり、その物語は驚きに満ちている。少なくとも私は読みながら驚いたし、この驚きとそれに伴う興奮を誰かと共有したいと思った。驚きを共有して語りたくなるような本なのだ。が、私はこの本をネタバレせずには語れない。とにかく読んで、としか言えない。私は現実世界では本を他人に勧めることはほとんどないのだが、この本だけは、家族に勧めた。とにかく読んで、と。

 今更ながらこの本を勧めるのは、この本がもうすぐ映画化されるからだ。映画化されるのも納得の面白さであるのだが、映画化されてしまうとどうしても意図せぬネタバレに遭遇してしまう可能性が高くなる。ミステリ好きな方なら、ネットを巡回中にアガサ・クリスティアクロイド殺し『オリエンタル急行殺人事件』のネタバレが、「何気なく」「悪意なく」されているところに出くわしたことがあるだろう。『屍人荘の殺人』も同じ危険性があるように思う。だからこそ、未読の方、特にかつての私のように、読もうかどうか迷っている方は、早めに読んで欲しい。

 このミステリを読んで、驚きを得られるのは初読の1回だけだ。まだ読んだことのない方は幸せだ。これから読書の驚きとその快感を得ることが出来るのだから。

屍人荘の殺人 (創元推理文庫)

屍人荘の殺人 (創元推理文庫)