読書録 本読みの貪欲

アラサー本好きの日記です。本、旅行、文房具、犬、魚などが好き。

読書感想を書くことは難しい

梅雨も明け、本格的に蝉たちが鳴き始めている。学生たちはもうすぐ夏休みである。

夏休みといえば読書感想文である。大人になった今、改めて思うのは読書の感想を書くことの難しさである。4年間ほど、読書ブログを続けているが、一向にコツがつかめない。今の状態で、学生時代に戻ったとしても、良い感想文が書ける気は全くしない。

小説の感想を書くのは難しい

読書の感想、特に小説の感想を書くことは難しい。その理由のひとつは、「面白かった」という感想を改めて言語化することが難しいからであると思う。私が読書ブログで伝えたいことは「この本面白かったよ!」というシンプルなことである。しかし、面白かった本を面白かったと伝えるだけでは芸がない。良かった本のAmazonのページに星をつければ良いだけの話になってしまう。

面白かったと伝えるためには、私が小説のどこをどのように読み、そしてどう思ったのかを伝える必要があるだろう。そのためには、まず、自分の中で、自分が面白がっていることを認識しなければならない。なんとなく、面白いなあと読み進めるだけでは、面白いの言語化はできない。読後にでも「面白かった!では私にとってこの本は、どうしてこんなにも面白かったのだろか?」という問いを立てなければならない。
私が読書の感想をブログに書こうとするものの、言葉が出てこず挫折するのは、この問いを立てることが出来ていないからだろう。文章の表面をなぞるように面白がっているだけで、自分の中で咀嚼していない。だから、面白かった以上の感想が出てこない。

どのような感想文が読みたいか

私は読書ブログや読書エッセイを読むことも好きである。特に、作者が生活のなかでどのように本を手に取り、どのように読んだのか分かるエッセイが好きだ。本を読んで、何を連想したのか、何を考えたのか。本を読んだ結果、作者がどう変わったのか、変わらなかったのか。

他の人が本とどのように付き合っているのか、それを知りたいと思う。私は本が人を変える魔力があると信じているし、だからこそ読書は面白いと思う。その魔力が伝わってくるような感想を読みたい。そして出来れば書いてみたい。

そのためにも、もう少し自覚的に、どうして私はその本を手に取ったのか、その本をどのように読んだのか、そして、読んでどのように感じたのか、問いを投げかけながら、読書に向き合いたい。

ヘプタポッドとネアンデルダール人

仕事中、ふとした瞬間に、何の脈絡もない言葉が頭に浮かんでくることはないだろうか。私にはよくある。最近、やたらと「ヘプタポッド」という言葉が思い浮かぶ。

ヘプタポッドといえば、テッド・チャン作のSF短編『あなたの人生の物語』において、人類とコンタクトをとる7本足の宇宙人である。そしてヘプタポッドという言葉が思い浮かぶと、その物語と共に、ヘプタポッドたちの独特な文字・言語や彼らの人間とは異なった世界の認識方法が連想される。ヘプタポッドたちは時制を超越した言語を操り、決定論的な世界観のなかで生きているのだ。

世界を認識する

人間は人間の方法でしか世界を認識できない。しかし認識方法が異なれば世界は全く違う様相を示すという可能性がある。
それは当たり前のことで、宇宙人に登場願わなくとも、私たち人間と他の生物では見えている世界は大きく異なる。
私は魚が好きなので、水槽を泳ぎ回る彼らを見ながら時々思う。側線という人間の持たない感覚器官を持って、水中世界を泳ぎ回る彼らには、世界をどのように認識しているのだろうか、と。想像力が貧困なので、魚の感覚は想像しきれない。他にも、複眼を持つ昆虫たちが、どのように世界を認識しているのかも気になる。時々、博物館にありますよね、「複眼を体験してみよう」という装置。沢山のレンズに、同じ風景が写っているやつ。

認識の違う生物とのコンタクト、というテーマで、今一番気になっているのは、我々の先祖と他のヒト族とのコンタクトである。

最近『カラー図解 進化の教科書 第1巻 進化の歴史』(カール・ジンマー、ダグラス・J・エムレン)というブルーバックスを読んだ。この本は第4章が「人類の進化」という章であり、類人猿からヒトへの進化の歴史をテーマにしている。興味深いのは「4.5 古代遺伝子からの知見」という部分である。ここでは、ヒトの異種交配について述べている。この本によれば、ヨーロッパ人とアジア人の遺伝子の2.5%はネアンデルタール人由来のものであるという研究や、デニソワ人の遺伝子を持っている人がいるという研究があるそうだ。

ヒトの異種交配。興味深く、面白いと思いませんか?
次々と疑問が浮かぶ。

ホモ・サピエンス以外のヒトは、どのように世界を認識していたのか。
ホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人やデニソワ人をどのように認識していたのか。
異種間で意思疎通はできたのか。
異種交配はどのような過程で起こったのか。頻度はどのくらいあったのだろうか。
異種交配の結果の遺伝子が現在のホモ・サピエンスに受け継がれているということは、異種交配で生まれた子供が古代ホモ・サピエンス社会で受容されたということだろうか。異種間の子供を社会はどのように認識していたのだろう。

考えると考えるだけ気になってくる。

ということで、次の本として『我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち』(川端裕人)を読んでみたいと思う。
進化人類学の論文も探してみようかな。あと、『あなたの人生の物語』を原作とした映画『メッセージ』も観たいなあ。

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

トルストイ『戦争と平和』が面白い!5/6巻読破!

昨年から、岩波文庫の新訳でトルストイの『戦争と平和』を読んでいる。途中で長い休憩を挟みながらも、ついに5巻目。

読み出すとやはり面白い。4日ほどで文庫1冊を読んでしまった。物語が進めば進むほど面白くなってきた。
戦争も恋愛もついに佳境。登場人物たちの人生観もそれぞれの方向に少しずつ変化してきた。読めば読むほど面白いということは、読み始めの部分はあまり面白くないのか、といえば、確かに1巻の物語の導入部は読みにくかった。人物たちが多いし、それぞれの性格を表すエピソードが、一見脈絡なく連なっているからだ。しかし、その部分を頑張って読んできたからこその物語の後半部である。物語はダイナミックに動いていき、それぞれのエピソードが収斂して、昇華していく。

私たちは歴史としてナポレオン戦争の結末を知っているが、それが物語となり、その当時を生きた人々の視点が与えられると、こんなにも面白いのか、と改めて思った。
インターネット上の感想等を見ると、戦争のシーンがあまり好きではない、との感想がちらほらと見られるが、私は全くそのようには思わない。戦争という運命に巻き込まれた主人公たちと一緒になって右往左往するのも、ウィキペディアで歴史的な事実や地図で地名を追ったりしながら読むのも、とても楽しい。

もちろん恋愛や人間関係的なやりとりも交錯しまくっており、読み応えがある。5巻を読みながら、ニコライ(楽天的な貧乏貴族)とソーニャ(ニコライの従姉妹であり幼馴染)ともう1人(戦火からの避難中、ニコライと運命的な出会いをする女性。念のため誰かは伏せておく)の三角関係がどうなっていくのか、気になってしょうがなかった。三角関係の結末は、6巻へ持ち越しだ。

他にも主な主人公であるアンドレイとピエールの人生観に大転換があったりと、5巻は読み応えがあった。

早く続きが読みたい!

ということで、濃厚な読書体験はあっという間に終わってしまったので、早く続きを読みたい。そう思い、近所の本屋(そこそこ大きい)に行ってみると、なんと、6巻を置いていない。
検索システムがある本屋なので、検索してみると、なんと在庫なし。入荷未定。まじか。
このような時、どうするべきか。
インターネット通販で買ってしまえば簡単だけど、どうせ課金するなら実店舗のある本屋に課金したい気持ちがある。
だからといって、取り寄せてもらうのも面倒だ(取りに行くのが)。気が向いた時に本屋に行くのは大好きだが、「予約の本を取りに行く」という用事を済ますための義務感では行きたくない。残念ながら、私は面倒くさがりなのである。

ということで何も買わず、取り寄せも頼まず、だからといってネット書店でも買わず(2巻目は1巻目を読み終えたら、その瞬間に続きを読みたくなり、電子書籍で買ったけどさ)、別の本を読み始めることにした。
戦争と平和』読了までの道はまだまだ長そうだ…

戦争と平和〈5〉 (岩波文庫)