読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

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2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『人間の土地』 (サン=テグジュペリ著) 解説は宮崎駿さん。【読書感想】

ぼくら人間について、大地が、万巻の書より多くを教える。理由は、大地が人間に抵抗するがためだ。人間というのは、障害物に対して戦う場合に、はじめて実力を発揮するものなのだ。 (p7) 壮大なタイトルである。そして『人間の土地』はこのような壮大な書…

アカデミー賞を観る 『それでも夜は明ける』 スティーブ・マックィーン監督

映画館で観てきた。 アカデミー賞作品賞受賞作『それでも夜は明ける』。 がっつりと観客に迫ってくる映画。 久しぶりに時間の経過を感じさせない映画を観た気がした。 痛い、映画 前にも書いたが、私に映画の善し悪しは分からない。 だけど、感じることはで…

絵本好きが読書好きになるまで

今週のお題特別編「素敵な絵本」まさかこんな所で絵本を見ることになるとは。相変わらず就職活動で東京へ来ている。 平日、昼前。某東京メトロの駅にて。上りエスカレーターに乗っていたところ、隣を下りてくる初老の男性が、片手に絵本『ちいさいおうち』、…

『死にたくないが、生きたくもない。』 小浜逸郎

世の中には秀逸なタイトルを冠した本がある。 『死にたくないが、生きたくもない。』、この題名を見た時、まさしく衝撃を受けた。自らの心情をぴたりと表わす言葉がそこにはあった。 「死にたくないが、生きたくもない」 思わず口の中で転がしたくなる。語呂…

クーポンで本を買う 『哲学入門』 戸田山和久

東京駅のいくつかの店舗で使えるクーポン券を頂いた。 額にして1000円分。 一人暮らしの学生にとってはなかなか嬉しいお小遣いである。 クーポン券を使える店舗の中に書店を見つけ、1000円分すべてを書籍に充てることを決意した。しかし実際書店へ行くと1000…

林芙美子が書くインテリ無職青年の生活 『魚の序文』

金銭的に豊かな生活と貧しい生活、どちらに憧れを感じるか。人は皆、豊かな生活を目指す。ということが現代日本では暗黙の了解となっているように思う。 だからこそ大学生である私が直面している就活戦線は苛烈である。 誰もがより良い就職先を目指して努力…

美しいものには毒がある 『偏愛文学館』倉橋由美子

好き嫌いという次元を超越して凄いと感嘆するしかない作家はそんなに多くない。 倉橋由美子は私の貧弱な読書録の中でも一段と際立った場所で存在感を放っている。彼女の物語は読むたびに圧倒させられる。既存の小説のかくあるべしという規格から二回り、三回…

『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』 ジュノ・ディアス

良い本はその一冊の中に様々な要素を内包している。今更ながら読んでみた。 とにかく面白かった。この本を一言で言い表すことは難しい。 「とにかく読んでみて、すごいから」 誰にも勧めたくなる本、と言うのが一番かもしれない。 小説好きを自認する方は必…

北森鴻を知っていますか 『孔雀狂想曲』再読

私はラノベや歴史小説を読まない。 何故ならラノベや歴史小説の大半がシリーズものだからだ。 私はシリーズものの小説に手を出さないよう自制しつつ読書生活を送っている。 読めば面白いことは分かっている。 そして私は、一巻目を読めば、必ず二巻目も読む…

『精神のけもの道』 春日武彦

吉野朔実=漫画、という背表紙の文字に惹かれた。 吉野朔実、『本の雑誌』に読書エッセイ漫画を連載している漫画家であり、『悪魔が本とやってくる』といった作品がある。 そして私は密かな吉野朔実ファンである。 この本は春日武彦の精神エッセイ一編に、吉…