読書録 本読みの貪欲

地方在住三十路女の読書日記。ミステリ、海外文学、文房具に犬と魚が好き。

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読んだ本

『マーダーボット・ダイアリー』(マーサ・ウェルズ著)【読書感想】

3連休。読むのを楽しみに積んであったSF小説『マーダーボット・ダイアリー』(マーサ・ウェルズ著 中原尚哉訳)をついに読んだ。一人称が「弊機」の殺人ロボットが主人公の小説だと聞いて興味を持ち、2ヶ月ほど前に買ったものだ。いざという時に読もうと、積…

ディストピア×サスペンス『ドローンランド』(トム・ヒレンブラント著)【読書感想】

ドイツ人作家によるSF小説を読んだ。SFといってもただのSFではない。ディストピア小説だ。『ドローンランド』(トム・ヒレンブラント著 赤坂桃子訳)である。 正直なところ、この『ドローンランド』という題名には惹かれなかった。原題も『DROHNEN LAND』であ…

『世界史を変えた13の病』(ジェニファー・ライト著、鈴木涼子訳)

新型コロナウイルスの流行に伴い、感染症をテーマにした本が売れているという。カミュの『ペスト』が重版というニュースが流れているし、岩波新書編集部さんは、村上陽一郎『ペスト大流行』、山本太郎『感染症と文明』の緊急復刊、押谷仁・瀬名秀明『パンデ…

ハードSFの洗礼を浴びる 『順列都市』グレッグ・イーガン【読書感想】

「SF おすすめ」などと検索すると、「ハードSF」なる言葉と共に紹介されている作家、グレッグ・イーガン。 ハードSF、少なくとも初心者向けでは無さそうな響きである。しかしグレッグ・イーガンの名前の横には「ハードSF」という言葉だけではなく、「傑作」…

『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(大木毅著)【読書感想】

『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(大木毅著)を読んだ。 岩波新書から出版されており、第二次世界対戦におけるドイツとソ連の戦争についてコンパクトにまとめられた一冊である。 以下、目次。 はじめに 現代の野蛮 第一章 偽りの握手から激突へ 第一節 スターリン…

『火星年代記』レイ・ブラッドベリ【読書感想】

有名なSFを読んでおこう読書の一環で、レイ・ブラッドベリ『火星年代記』を読んだ。年末年始のハヤカワSFフェアで大人買いした本の中の一冊。一泊二日の出張の間に読破した。レイ・ブラッドベリさんの本を読むのは「未来の焚書」を扱った『華氏451度』に続い…

レシピ3つのレシピ本。『いちばんおいしい家カレーをつくる』水野仁輔著

またまたすごい本に出会ってしまった。 『いちばんおいしい家カレーをつくる』というカレー本である。著者は「東京カリ~番長」で有名な水野仁輔さん。ネットメディアでも時々見かける名前である。著者は、カレーの本をたくさん出しておられ、私も何冊か読ん…

『闇市』マイク・モラスキー編【読書感想】

戦中戦後の日常であった「闇市」をテーマにしたアンソロジーを新潮文庫で見つけた。編者のマイク・モラスキーさんは、本の紹介によると早稲田大学国際教養学部教授で、日本の戦後文学やジャズ音楽がご専門という。このアンソロジーの特徴は選書にある。冒頭…

ディストピア小説を読む 『われら』ザミャーチン(松下隆志訳)【読書感想】

オーウェル『1984年』に影響を与え、 ハクスリー『すばらしい新世界』が影響を認めない ディストピアSFの先駆け、待望の新訳 ザミャーチン著『われら』の光文社古典新訳文庫の帯である。ザミャーチンという著者も、『われら』という題名も聞き覚えのないもの…

『モンテ・クリスト伯』アレクサンドル・デュマ【読書感想】

年末年始の長期休暇を利用して岩波文庫で7冊に及ぶ長編小説『モンテ・クリスト伯』(アレクサンドル・デュマ著)を読了した。『モンテ・クリスト伯』あるいは『巌窟王』の題名で知られ、ドラマ化もされ、主人公エドモン・ダンテスがスマホゲームFGOに取り…

『はだかの太陽』アイザック・アシモフ【読書感想】

正月休み前に早川書房の電子書籍セールで、SF小説を大人買いした。数年前からSFを読み始めた初心者からすると、「古典SF」といわれるような有名どころの小説が安く買えるのは大変有り難い。10冊ほど買ったので、来年1年かけて少しずつ読んでいこうと思う。 …

2019年の読書振り返り

2019年を振り返る。 今年はどんな年だったか。人生2度めの転職をした年であった。転職は人生において結構な一大事だ。しかし転職してから9ヶ月が経ち、新しい職場にそこそこ馴染んだ今から振り返ると、そんな一大事を乗り越えたという感慨はない。すでに新し…

『日曜日の人々(サンデー・ピープル)』高橋弘希【読書感想】

パンクでトリッキーな小説を読みたい。そんな欲求に突き動かされて向かった本屋さんで出会った一冊。手のひらに軽く収まってしまうほどの、薄めの文庫本。表紙にはクマのぬいぐるみ?が描かれた黄色い皿に、ケーキが乗っているというよく分からない写真。「…

ロスジェネ小説 『ロス男』平岡陽明【読書感想】

ロストジェネレーション世代の作家が書いた、ロストジェネレーション世代の男を主人公とした小説『ロス男』(平岡陽明著)を読んだ。 生まれ落ちた世代で規定されてしまうほど、人生というものは単純ではない。「ロストジェネレーション世代」と一言で言って…

やっぱりミステリは面白い『カササギ殺人事件』(アンソニー・ホロヴィッツ著)【読書感想】

今週のお題「2019年買ってよかったもの」 今村昌弘著『屍人荘の殺人』に引き続き「今更かよ」と言われそうな本を買って読んだ。アンソニー・ホロヴィッツ著『カササギ殺人事件』である。昨年末、国内ミステリ界隈で話題を攫っていたのが『屍人荘の殺人』だが…

共働きに救いはあるか?『夫婦幻想--子あり、子なし、子の成長後』(奥田祥子著)

「妻は変わってしまった」「夫に絶望した」--。取材対象者の多くが口にした言葉からは、目の前の現実から目を背け、「幻想」の中にだけにしか夫婦像を描けない男女の悲哀を感じずにはいられなかった。と同時に、苦悩し、憤りながら、それでもなお、夫婦に…

ミステリ好きこそネタバレ前に読んで欲しい 。『屍人荘の殺人』(今村昌弘著)【読書感想】

さて2019年も末である。この期に及んで私は『屍人荘の殺人』(今村昌弘著)をこのブログを読む方に勧めようとしている。本好きの方なら何を今更と思うだろう。『屍人荘の殺人』世に出たのは2017年の秋のことである。既読の方も多いだろう。 その頃の私は、し…

人を思う重さについて 『夜のアポロン』皆川博子著 日下三蔵編【読書感想】

夜になると、太陽は輝くのです。 ぎらぎらと白く燃え、すさまじいエネルギーを放ち、あたしを、あなたを、灼きつくすのです。 見せてあげましょう。あたしと一緒にいらっしゃい。 (表題作『夜のアポロン』より) 初めて読んだ皆川博子さんの小説は『開かせ…

北欧×近代×ミステリ 救いようのない世界を生きる『1793』(ニクラス・ナット・オ・ダーグ)【読書感想】

ブログの更新が滞っている。なぜか。本を読んでいないからだ。個人的な読書記録であるこの個人ブログの更新には、当たり前だがブログ主が本を読む必要がある。その肝心のブログ主はといえば、日常生活に忙殺され、情けないかな、まともに本も読めないでいる…

スパイスカレーと読書。『アリバイ レシピ』(北森鴻著)【読書感想】

久しぶりのブログ更新である。 ブログも更新せず、それどころか読書もせずに何をしていたのかといえば、スパイスからカレーを作っていた。何を思ったのか味音痴のくせにスパイスをまとめ買いしてしまい、それらを有効利用すべくスパイスやカレー関係のレシピ…

Vシリーズを読み返す。森博嗣著『黒猫の三角』

林警部の車種は何か 森博嗣さんの第2長編ミステリシリーズである、Vシリーズを読み返している。しばらく読み返そう、読み返そうとは思っていたのだけれど、本棚に並ぶVシリーズを前にするといつでも読めるという気が起きてしまい、なかなか手が出なかった。…

北氷洋捕鯨小説『北氷洋』(イワン・マグワイア著)【読書感想】

発売当初より、書店で見ては読みたいなと思っていた小説をついに読んだ。イワン・マグワイア著の『北氷洋』。もうタイトルからそそる。そして文庫本の表紙絵。白波が立つ海の向こうには氷山があり、その手前には帆船、そして捕鯨ボートに乗った銛打ちと鯨が…

♯私の平成の30冊

Twitterにて「♯私の平成の30冊」なる面白そうなタグを見つけた。せっかくなので自分でも30冊を選んでみた。これがなかなかに難しい。一著者一作品、ノンフィクション系は除外、平成になってからの新訳は選択可というマイルールで30冊を選んだ。選択の基準と…

『人形』(モー・ヘイダー著)【読書感想】

「人形」と書いて「ひとがた」と読むサイコミステリ 早川ポケットミステリーからの一冊。モー・ヘイダー著の『人形』を読了。サイコミステリー。タイトルは「にんぎょう」ではなく、「ひとがた」と読む。原題は「muppet」。辞書で軽く調べてみると、「muppet…

人類のその先へ 『幼年期の終わり』(クラーク著)【読書感想】

SF小説の金字塔のひとつ『幼年期の終わり』(クラーク著)を読みました。言わずと知れた超有名作で、SF初心者の私もタイトルはずっと以前から知っていた。今年の年頭に有名なSF小説『星を継ぐもの』(ジェイムズ・P・ホーガン著)を読んだところ非常に面白か…

海洋冒険小説『引き潮』ロバート・ルイス・スティーブンスン、ロイド・オズボーン【読書感想】

『宝島』の著者ロバート・ルイス・スティーブンスンと彼の義息であるロイド・オズボーンによって書かれた海洋冒険小説『引き潮』を読みました。『宝島』のような子供向けの物語かなとも思いながら本を開いたところ、これが深みのある大人向けの物語だった。…

不幸になってしまえばいいのに。村上春樹著『国境の南、太陽の西』

不幸になってしまえばいいのに、主人公たちに対し、そんな風に思いながら読んでいる自分に気づいて驚いた。 久しぶりに村上春樹さんの小説を読んだ。中長編小説『国境の南、太陽の西』。実はタイトルだけを見て、紀行文かと思い込み衝動買いしたのであった。…

香菜里屋シリーズ2作目。北森鴻『桜宵』を読む。

この3連休は、本を読むか、漫画を読むか、本棚を整理するかしているうちに終わってしまった。 ある本を少し読んでは別の本を手にするという、集中力のない読書であった。そんな中でも読み切ったのが、北森鴻さんの『桜宵』である。香菜里屋シリーズの第2作目…

無意味な人生を送るすべての人々へ 『タタール人の砂漠』(ブッツァーティ著)【読書感想】

〈時の遁走〉がテーマのイタリア発の長編小説『タタール人の砂漠』(ブッツァーティ著)を読みました。 時の遁走、光陰矢の如し、少年老い易く学成り難し、後悔先に立たず、といった言葉を文学の形にすると、このような美しい物語になる。 主人公ジョヴァン…

ロボット三原則と長編SF アイザック・アシモフ著『鋼鉄都市』【読書感想】

第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限…