読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

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2018-01-01から1年間の記事一覧

旅行の準備、本の準備。『活字のサーカスー面白本大追跡ー』椎名誠

旅行で一番楽しいのは準備をしている時間である、というような事を時々聞く。 確かに、押入れの奥から旅行用のカバンを引っ張り出してきたり、何を着ていこうか迷っていたりするうちに、旅行への期待は否が応でも高まってくる。そんな準備の中でも、一番悩ま…

2018年の読書生活の振り返り【読書日記】

さて2018年もそろそろ終わりが見えてきたので、簡単に振り返りをしておこうと思う。今年は新天地での生活のスタートであり、環境が大きく変わったが(今年初めに引越し及び転職しました)、それにも関わらず例年通り多くの本が私の中を通り過ぎていった。さ…

森博嗣さんの新書エッセイ『ジャイロモノレール』(森博嗣著)【読書感想】

森博嗣の新書を2冊続けて読んだ。趣味的な夢の効用を解く『夢の叶え方を知っていますか?』と2018年の新刊『ジャイロモノレール』の2冊である。本のテーマとしては2冊とも通底しており、本当に自分の好きなことをしよう、ということである。 本当に好きなこ…

ディストピア小説を読む ユートピアとしての『すばらしい新世界』オルダス・ハクスリー【読書感想】

ディストピア小説として名前だけは以前から知っていた『すばらしい新世界』。19世紀生まれのイギリス人作家、オルダス・ハクスリーによるSF小説である。1932年の作である。この度、光文社古典新訳文庫で読みました。訳者は黒原敏行さん。 工業化が進んだ2540…

読書ブログを5年続けてみた感想

今週のお題「読書の秋」 先日、2018年11月18日に、このブログ『読書録 本読みの貪欲』は5周年を迎えた。長かったような短かったような5年間だった。 飽きっぽさには定評がある自分である。ふと思い立って始めたブログが、ここまで継続できるとは。…

家電の断捨離 稲垣えみ子『寂しい生活』【読書感想】

稲垣えみ子著『寂しい生活』というエッセイを読んだ。著者の本を読むのは2作目で、1作目は今年のはじめに読んだ『もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓』である。家電なし生活を送る著者の食生活についてのエッセイであり、著者の軽妙な語り口に乗…

図書臨時増刊2018『はじめての新書』

出版前から気になっていた冊子をようやく手に入れることができた。岩波書店のPR誌である『図書』の臨時増刊号『はじめての新書』である。岩波新書創刊80年を記念して作られたA5サイズの小さな冊子である。インターネットを通してその存在は知っていたが、地…

大学のある街を再訪しました。

先日のこと。大学時代の友人が、大学のある街で結婚式を挙げた。招待していただいたので、私は卒業以来始めて、学生時代を過ごしたその街を訪れた。4年ぶりのことである。 着陸態勢に入った飛行機の窓からその街を見下ろすと、胸の奥底から懐かしさが溢れて…

ディストピア小説を読む 『侍女の物語』マーガレット・アトウッド【読書感想】

ディストピア小説を読みたい。夏の終わりにふと思った。それから二ヶ月。ようやく一冊を読み終えた。カナダ人女性作家マーガレット・アトウッドによる『侍女の物語』。 初期のギレアデ政権時代に「侍女」として生きた一人の女性が残したテープを文書化したも…

本を読む気力と衝動買い

先日、本を読む気力もないという愚痴記事を書いた。dokusyotyu.hatenablog.com 嘘を書いたつもりは全くないのだが、記事を書いた数時間後、私は本屋にいた。そして一冊の本を買った。転職についての本を買おうと思ったのだ。私は読書が行動に先んじる人間で…

本を読む気力

出先で、ふと時間が空いてしまった。 こんな時にカバンに文庫本でも入っていればよかったのだが、あいにく持っていない。外に出るときはたいてい本を持ち歩いているのだけれど、このところ本を読む気力がなく、今朝は準備する際に本を持っていくことを思いつ…

再転職を考えはじめた。

今の職場に転職し、早10ヶ月。なのだが、諸事情により、再度の転職を考えている。働きたくないわけではないし、むしろ一生働き続けたく思い一生勤められる職場を探しているのだが、転職活動は気が進まない。それなら今の職場で頑張れよ、と言われそうだが、…

半額惣菜と「きょうの料理」

今週のお題「最近おいしかったもの」 今朝のこと。洗い物をしていた際、水道水に冷たいと思っている自分に気づき、ああ、秋だなと思った。日が暮れるのも早くなってきた。秋本番である。 今週のお題「最近おいしかったもの」。 秋には美味しいものが沢山ある…

カーアクション限界突破! ジョージ・ミラー監督『マッドマックス』【映画感想】

今更ながら『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に興味を持った。水耕栽培シーンがあるらしい。『怒りのデス・ロード』は、マッドマックスシリーズの4作目ということなので、とりあえずシリーズ最初から観てみようかなと思い、一作目を鑑賞した。ちなみに…

ままならない人生を生きる ジョン・ウィリアムズ『ストーナー』【読書感想】

この小説の存在を知ったのは、数年前、インターネット上でのことだった。いくつかの読書ブログで絶賛されていたのだが、それらのオススメ文句が「地味な人生を書いた小説だが、それが良い」との主旨であり、興味を持った。ストーナーとは、その地味な人生を…

2019年の家計簿購入。オレンジページ『1日3分家計簿』

雨の日。本屋さんに行くと、棚2面に渡りずらっと家計簿が並んでいた。文房具屋の手帳コーナーと並ぶ、秋の風物詩である。もうそんな季節か、さて、今年の家計簿はどうしようかなと思う。 毎年、家計簿の購入には迷っている。昨年は迷っている間に年が明けて…

自立と自炊と家族の食卓

中学生の私は、早く大人になりたくて仕方がなかった。中学校が好きではなく、中学一年生のGW開けには、すでに一刻も早く卒業したかった。早く大人になって、実家の家を出たかった。そして一人暮らしというものをしてみたかった。自分の生活を自分で運営して…

最初で最期の心斎橋アセンス。

人生とは、ままならないものである。 数年前にインターネット上で話題になっており、いつか読みたいと思っていた本を、心斎橋アセンスの本棚で見つけた。ジョン・ウイリアムズ著『ストーナー』。100年前のアメリカに生まれた1人の男の一代記である。白いカ…

ディストピア小説を読む 『消滅世界』村田沙耶香著【読書感想】

村田沙耶香著『消滅世界』を読んだ。何が消滅した世界の小説なのか。帯にはこうある。 世界から家族、セックス、結婚…が消える 舞台は人工授精技術が進み、セックスではなく人工授精技術で子供を生むことが普通になった、パラレルワールドな日本(近未来の日…

三宅唱監督『きみの鳥は歌える』【映画感想】

三連休の初日。映画『きみの鳥は歌える』を観るために、久しぶりに電車に乗った。住んでいる町では上映していなかったので、大阪まで足を伸ばしたのだ。シネマート心斎橋。観光客で溢れかえる商店街を抜け、ビルの上にある映画館に入る。本作は、函館の小さ…

関西人ですが『東京防災』買いました

今週のお題「わが家の防災対策」先日の台風はすごかった。台風通過日は、仕事を早退して、雨戸を締め切った部屋に籠っていた。お昼過ぎ。風は一層強くなり、部屋が揺れた。雨戸には何か重いものが当たる音が幾度かし、外の様子が気になったものの雨戸を開け…

米澤穂信『満願』【読書感想】

ある日、米澤穂信『満願』を原作とするドラマの宣伝を見た。そういえばこの本を持っていたな、長編ミステリかと思っていたが短編集だったのか、と思った。せっかくなので積読山から単行本を探し出し、開いてみる。6つの短編が収められており、ドラマ化した…

国分功一郎『暇と退屈の倫理学』を再々読中【読書日記】

国分功一郎『暇と退屈の倫理学』を再々読している。はじめて読んだのは、発売されてすぐの頃。本書は話題となっており、新聞の書評等にも取り上げられ、書店でも平台で並べられていたように思う。流行に流されやすい私は、「倫理学」という言葉の重々しさに…

ミラーレス一眼デビューします。OM-D E-M5 Mark2 衝動買い。

マイクロフォーサーズ規格であるミラーレス一眼レフカメラ、オリンパス「OM-D E-M5 Mark2」を衝動買いした。 以前から、カメラには興味があった。学生時代にはニコンのデジイチ入門機であるD5000を使用していたし、普段のカメラとしてはソニーのRX100を持ち…

【読書感想】はじめてのスパイ小説 ジョン・ル・カレ『寒い国から帰ってきたスパイ』

ある日本屋へ行くと、文庫本コーナーに「ハヤカワ文庫冒険スパイ小説フェア」なる棚ができていた。外交ジャーナリストであり、かつ作家でもある手嶋龍一氏が選書した冒険スパイ小説たちが並んでいる。黄色の帯が、暗い表紙絵のスパイ小説たちを鮮やかに彩っ…

【読書感想】小池昌代編『恋愛詩集』 恋愛詩を超えた恋愛詩たちをよむ

大好きな詩集、小池昌代編『通勤電車で読む詩集』の続編、同編者による現代詩のアンソロジー『恋愛詩集』を買ったのは一昨年の夏の終わりだったと思う。そしてそれは予想通り、私の読書の歴史の中の2016年を代表する一冊となった。 買ってから約二年がたった…

アウトプットの重要性

今まで古今東西、現実世界でもインターネット界でも、言い古されてきたことだと思うけれども、アウトプットは重要である。今更ながらにひしひしと感じている。ここ数年、驚くほどに、年月の流れを早く感じる。数年前のことが、ごく先週のことのように感じる…

読書感想を書くことは難しい

梅雨も明け、本格的に蝉たちが鳴き始めている。学生たちはもうすぐ夏休みである。夏休みといえば読書感想文である。大人になった今、改めて思うのは読書の感想を書くことの難しさである。4年間ほど、読書ブログを続けているが、一向にコツがつかめない。今の…

ヘプタポッドとネアンデルダール人

仕事中、ふとした瞬間に、何の脈絡もない言葉が頭に浮かんでくることはないだろうか。私にはよくある。最近、やたらと「ヘプタポッド」という言葉が思い浮かぶ。ヘプタポッドといえば、テッド・チャン作のSF短編『あなたの人生の物語』において、人類とコン…

トルストイ『戦争と平和』が面白い!5/6巻読破!【読書感想】

昨年から、岩波文庫の新訳でトルストイの『戦争と平和』を読んでいる。途中で長い休憩を挟みながらも、ついに5巻目。読み出すとやはり面白い。4日ほどで文庫1冊を読んでしまった。物語が進めば進むほど面白くなってきた。 戦争も恋愛もついに佳境。登場人物…