読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

MENU

2020-01-01から1年間の記事一覧

2020年読んで思い出に残っている本

読書メーターによると、2018年は54冊、2019年は64冊、2020年は127冊の本を読んでいた。読書の楽しみは量ではないとはいえ、我ながらよく読んだなと思う。年100冊越えは学生の時以来だ。たくさん読めただけではなく、面白かった本にたくさん出会えた一年だっ…

引っ越しました。【日記】

先週末に引っ越した。最近、あまり本を読めていないのは、この引っ越しの準備で大忙しだったからである。仕事も年末進行で忙しかった。なんだか随分と長い期間、面白い小説を読んでいない気がする(多分気のせい)。 数えてみると、この10年で4回目の引っ越…

6年使ったKindleが壊れた【日記】

久しぶりのブログです。相変わらず毎日、本を読んでいるのだけれど、あまり感想を書けずにいる。12月末に引っ越すことになったので、読んだ本を片っ端から段ボールに詰めこんでいるからだ。ちなみにここ1ヶ月で、読んで一番面白かった小説は、ミラン・クンデ…

祝・映画化!『ナイルに死す』【読書感想】

もうすぐ映画化ということでアガサ・クリスティーの『ナイルに死す』を再読。久しぶりのクリスティーです。ナイル川クルーズで起こる殺人事件をたまたま居合わせた探偵ポアロが捜査し推理し解決するというミステリー。プロットだけを見れば典型的な推理小説…

本棚と読書。

欲しい本がたくさんある。各出版社の新刊も気になるし、お金に余裕が出来たら是非買いたい全集もある。しかし年末に引っ越す予定があるので、物としての本を買わないようにしている。同時に少しずつ本棚の本も片付けて段ボールに箱詰めしている。 今のアパー…

森博嗣Wシリーズ5作目『私たちは生きているのか?』【読書感想】

私たちは生きているのか? この問いに、特に悩まずにイエスと答えられる私は幸せである。思考と肉体はイコールであり、肉体の死はすなわち人格の死である。肉体の死の定義は確かに微妙な点はあるが、しかし、それでも分かりやすい世界に住んでいる。 さて。…

北森鴻の異色長編ミステリ『冥府神の産声』【読書感想】

北森鴻さんの長編ミステリ『冥府神の産声』を読みました。 初読は小学六年生か中学一年生のときだった。「冥府神」と書いて「アヌビス」と読むのがカッコいいという、中二病的感性から手に取った一冊。初めて読んだときは、難しい話だなと思った。挫折したと…

『迷宮百年の睡魔』(森博嗣著)【読書感想】

今週のお題「読書感想文」 森博嗣さんの長編SFミステリ、女王シリーズの二作目『迷宮百年の睡魔』を再読しました。 これがなんとも捉えがたい一冊で、うまく感想文が書けそうにない。 前作と同じく人間のミチルと初期型ウォーカロン(ロボット)のロイディの…

北森鴻のデビュー作を読む。『狂乱廿四孝』【読書感想】

何度かこのブログにも書いている気がするが、北森鴻というミステリ作家の物語が好きである。初めて北森鴻さんの物語を読んだのは小学六年生のときなので、彼の物語とはかれこれ二十年弱の付き合いである(ちなみに初読は、ミステリアンソロジーに収録されて…

『アンナ・カレーニナ』(トルストイ著 望月哲男訳)【読書感想】

『アンナ・カレーニナ』、読みました。私はヴロンスキーとアンナのカップルが好きで、二人を応援しながら読んでいました。だからこそ後半になるにつれ、ページを捲るのが辛くなっていきました。恋心だけでは「生活」はままならない。文豪トルストイの大長編…

Wシリーズに繋がる物語。『女王の百年密室』(森博嗣著)【読書感想】

15年ぶりぐらいの再読。森博嗣さんの『女王の百年密室』。我が家には何故か単行本と文庫本の両方がある(『女王の百年睡魔』も二冊ある。『赤目姫の潮解』は単行本だけ。文庫版解説はブログ「基本読書」の方が執筆されているので、文庫でも欲しい気がする…

SFアンソロジー『日本SFの臨界点』[恋愛篇・怪奇篇]伴名練編を読んだ。【読書感想】

この国に隠された、異形の想像力。 ”世界で最もSFを愛する作家”が 編んだ渾身のアンソロジー 心惹かれるキャッチコピーと共に、この夏発売されたのが、ハヤカワ文庫より出ている伴名練編『日本SFの臨界点[恋愛篇]死んだ恋人からの手紙』と『[怪奇篇]ちま…

『アリスマ王の愛した魔物』(小川一水著)【読書感想】

小川一水さんによるSF短編集『アリスマ王が愛した魔物』を読んだ。著者の小川一水の名前は長編SFシリーズ「天冥の標」により知った。シリーズが完結した当時、よくインターネットで名前が挙がっているのを見たものだった。このシリーズが面白いと評判なので…

戦争×女学院×ミステリ『倒立する塔の殺人』(皆川博子著)【読書感想】

先の4連休は本を読んで過ごしていた。今年の自主課題図書であるトルストイの『アンナ・カレーニナ』と4連休前に買ったばかりのSFアンソロジー『日本SFの臨界点』(恋愛篇・怪奇篇)を併読しつつ、合間の気分転換にミステリやら新書やら(『ペスト大流行:…

『推し、燃ゆ』(宇佐見りん著)【読書感想】

珍しく文芸誌を買った。河出書房新社の『文藝 2020年秋号』である。河出書房新書のTwitterをフォローしており、そこで今号の特集「覚醒するシスターフッド」を知り興味を持った。「シスターフッド」という言葉は初めて知ったが、惹かれるものがあり買ってし…

『感情教育』(中山可穂著)【読書感想】

『感情教育』、といってもフローベールの著書ではない。中山可穂さんの長編小説で、野間文芸新人賞候補作にあがっていた物語である。 女性同士の恋愛をテーマにした小説という前情報を知り手に取った。少し前に読んだ『キャロル』(パトリシア・ハイスミス著…

非現実系掌編集『非常出口の音楽』(古川日出男著)【読書感想】

『非常出口の音楽』という掌編集を読んだ。著者は古川日出男さん。古川日出男さんの掌編集といえば『gift』である。あとがきにも書いてあるが、本書は『gift Ⅱ』ともいえるような一冊である。 古川日出男さんの掌編、ショートショートは独特だ。私の中でショ…

『刺青』谷崎潤一郎著【読書感想】

先週末に読了したアメリカ発の恋愛小説『キャロル』(パトリシア・ハイスミス著)の反動で、昔の日本の恋愛小説を読みたくなった。そこで出てきた作家の名前が谷崎潤一郎。だいぶ前に『卍』の読書感想をブログにあげたことがある。調べてみると、多くの作品が…

至高の百合恋愛小説『キャロル』パトリシア・ハイスミス【読書感想】

パトリシア・ハイスミスの『キャロル』を読了した。これがすごかった。直球の恋愛小説だった。 本書は1951年、今から70年近くも前にアメリカにて出版された女性同士の恋愛をテーマにした長編小説である。2015年にトッド・ヘインズ監督により映画化もされてい…

『少女奇譚 あたしたちは無敵』(朝倉かすみ著)【読書感想】

パトリシア・ハイスミスの『キャロル』を読んでいる。 ご存じ女性同士の恋愛を描いた切ない物語なのだが、結構な序盤から悲劇の予感が満ち満ちていて辛くなってしまい(だって、主人公である19歳のテレーズのキャロルに対する純度100%の恋愛感情が、擦れた…

『朗読演奏実験空間”新言語秩序”』amazarashi

ディストピアものの物語が好きだ。ディストピア世界は、本や映画、あるいはアニメなどで数多く描かれてきた。それをライブで表現したアーティストがいる。私の大好きなバンド『amazarashi』である。 『amazarashi』は2020年6月9日に、活動10周年を迎えた。10…

『浮遊霊ブラジル』津村記久子著【読書感想】

世界には物語があふれている。読みたい本は尽きることがない。過去の名作はいくらでもあるし、毎月のようにベストセラーは生まれ続ける。それらをすべて読むことは不可能である。私は本が好きだが、別に速読家ではないし、すべての時間を読書に費やせるわけ…

【日記】30歳になってしまった。

タイトル通り。先日、30歳になってしまった。「なってしまった」と書いているが、このように強調するほど、感慨は深くない。誕生日はただの日常として過ぎていった。お祝いの言葉はもらったが、プレゼントをもらうわけでも、ケーキを食べたわけでもない。別…

『PSYCHO-PASS』にはまった話。あるいはディストピアSFとしての『PSYCHO-PASS』の魅力

最近ブログの更新をしていない。ブログを書かずに何をしていたのかというと、2012年発表のアニメ『PSYCHO-PASS』にはまっていた。2020年に最新の映画が公開されているとはいえ、今更感がすごい。 きっかけはゴールデンウィークに時間を持て余していたことだ…

2020年ゴールデンウィーク読書計画【読書日記】

2020年のゴールデンウィークが始まった。とりあえず毛布を仕舞うために洗うべくコインランドリーへと車を走らせる。ここ数日車に乗りこむと暑いと思うことが増えた。すっかり春である。家族とはそろそろ扇風機を出そうかなんて話もしている。今日も天気は良…

『プラハの墓地』ウンベルト・エーコ【読書感想】

ウンベルト・エーコ著『プラハの墓地』を読みました。 ウンベルト・エーコといえば『薔薇の名前』で有名なイタリア人作家。著者紹介では「記号論学者」という紹介がされることが多いが、私は彼の学術的な功績を知らない。ボローニャ大学の名誉教授であったそ…

『死刑にいたる病』櫛木理宇著【読書感想】

SFでも買うかと寄った本屋で見つけた一冊。早川書房の文庫棚で、SF小説たちに挟まれて売られていた。早川文庫の例に漏れず、普通の文庫本よりもほんの少しだけ、背が高い。 櫛木理宇さんの小説を読むのはこの『死刑にいたる病』が初めてである。表紙の裏の著…

2020年に観る『シン・ゴジラ』(庵野秀明監督)。【映画感想】

Amazonプライムビデオで映画『シン・ゴジラ』を見ました。家にDVDもあるので、今回で3回目か4回目かの視聴でした。初めて見たときは、「普通に面白いな」くらいの感想だったのだけれども、二回三回と回数を重ねるたびに面白くなっていく気がする。私はこの映…

『2001年宇宙の旅(決定版)』アーサー・C・クラーク著 伊藤典夫訳

有名SFを読んでおこう、と昨年末に早川書房の電子書籍セールで買ったアーサー・C・クラーク著『2001年宇宙の旅』を読了した。世間的には同題名のキューブリック監督による映画の方が有名なのだろう。「2001年宇宙の旅」で検索すると、映画のことばかりが…

『インターネット文化人類学』(セブ山著)【読書感想】

『インターネット文化人類学』という本を読んだ。はてなブックマークにも時々名前のあがる、「オモコロ」などのネットメディアで活躍するライター、セブ山さんによる、インターネットに生息する人々の生態を解説する一冊である。 この本の裏表紙の著者紹介に…