読書録 本読みの貪欲

地方在住アラサー本好きの読書録。海外文学、文房具に犬と魚が好き。

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私の好きな詩ベスト10

現時点の好きな詩について記録しておこうと思う。

1 会田綱雄『伝説』

2 村野四郎『秋の犬』

3 萩原朔太郎『遺伝』

4 井伏鱒二訳于武陵『勧酒』

5 衣更着信『孤独な泳ぎ手』

6 石原吉郎『居直りりんご』

7 高村光太郎『あなたはだんだんきれいになる』

8 四元康祐『会計』

9 天野忠『しずかな夫婦』

10 吉原幸子『初恋』

こうして並べてみると、ほとんどの詩が『通勤電車でよむ詩集』からのものであることに気づく。小池昌代さんがアンソロジーを通して私に与えた影響の大きさよ。

旅行の準備、本の準備。椎名誠著『活字のサーカスー面白本大追跡ー』

 旅行で一番楽しいのは準備をしている時間である、というような事を時々聞く。
 確かに、押入れの奥から旅行用のカバンを引っ張り出してきたり、何を着ていこうか迷っていたりするうちに、旅行への期待は否が応でも高まってくる。そんな準備の中でも、一番悩ましいのは、旅行中に持っていく本の選定である。活字中毒である私には、本を持っていかないという選択肢はなく、常に一冊はカバンの中に本を放り込んでいる。三泊、四泊ともなれば、本の冊数も二冊、三冊と増えていく。
 しかし、当たり前だが、持ち歩く本には制限がある。何よりも本は重い。旅行の荷物はできるだけ軽くしたいものだ。できるだけ軽い本を、しかし、旅先で読み終わってしまわない程度にボリュームがある本を。二冊以上持っていくときは、ジャンルがかぶらないように。なかなかに難しい問題である。が、電子書籍を購入してからは、このような本の制限に関する悩みはだいぶ減った。とりあえず読みたい本をダウンロードし、あとは電子書籍リーダーと充電器と、万が一充電が切れてしまったとき用に薄い文庫本でも一冊持っていけば良い。

 実は年末年始に海外旅行へ行く。そこで先日、持っていく本の選定をしていた。Kindleを持っていくので、制限要因は重さではなく、本の値段である。が、ここぞとばかりに思い切ってそこそこ沢山購入し、ダウンロードしてしまった。『ホモ・デウス(上・下)』『鋼鉄都市』『スパイス、爆薬、医薬品 ー世界史を変えた17の化学物質ー』『ルポ 中年フリーター「働けない働き盛り」の貧困』『星を継ぐもの』『国境の南、太陽の西。何泊するんだよ、という感じである。年末年始だけでは、読みきれないだろう。

 これだけの本を衝動的に買ったのであるが、それでもなんとなく物足りなく、家の本棚を見ていた。と、一冊の新書が目に入った。椎名誠著『活字のサーカスー面白本題追跡ー』。「岩波新書の黄色×椎名誠著×本のエッセイ」という組み合わせを珍しく思い、中古本屋で購入したものの、まだ読んでいなかった本である。旅人である著者の読書案内だ。旅行に持っていく本の選定にヒントになるのではないかと思い、ページを開いた。すると驚くべきことに、一番はじめに収録されていたエッセイのテーマがまさしく、旅に持っていく本選びについて、であった。タイトルは「カバンの底の黄金本」。

 著者も私と同類の活字中毒者である。しかし彼は旅人でもあり、長期で海外へ行くことも多い。なので本選びという楽しいが悩ましい問題に何度も直面している。そんな旅の本選びのプロである著者は、経験を重ねた上で、このように語る。

海外へ持っていく本は基本的には文庫本、せいぜいいって新書判ぐらい、というのが形式的には一番よいようだ。ぼくは一ヶ月の旅ということになるととりあえず十冊、というふうに考えている。その内わけは翻訳ミステリー三冊、翻訳SF二冊、時代劇もしくは歴史小説一冊、ノンフィクション二冊、軽いエッセイ一冊、古典の名作もの一冊、というのが標準ラインである。

 他の本を読み干してしまったとき用に、以前から読みたいと思っていても普段はなかなか読めない古典の名作ものを一冊持っていく、という話になるほどと思った。そういえば私も学生時代、長期の宿泊実習の際に、メルヴィルの『白鯨』を読み切ったことがあった。
 
 この本には他にも、旅と本のエピソードが沢山詰まっている。旅先の読書、というある意味最高の贅沢を著者と共に味わえる一冊だ。
 毎日少しずつ読み進め、読み終わり、あとがきを見ると、この本は岩波書店のPR誌「図書」に連載していたエッセイに加筆したものらしい。だから岩波新書なのか、と腑に落ちた。発売は1987年。30年前のエッセイではあるが、今読んでも十分に面白い、魅力的なエッセイである。

活字のサーカス―面白本大追跡 (岩波新書)

活字のサーカス―面白本大追跡 (岩波新書)

2018年の読書生活の振り返り【読書日記】

 さて2018年もそろそろ終わりが見えてきたので、簡単に振り返りをしておこうと思う。今年は新天地での生活のスタートであり、環境が大きく変わったが(今年初めに引越し及び転職しました)、それにも関わらず例年通り多くの本が私の中を通り過ぎていった。さっくりと素通りしていった本もあれば、一生私の中に残り続けるだろう本もあった。充実した1年だったと思う。
 印象的だった本を何冊か挙げておこう。

とにかく面白かった小説

 まずは小説、アリステア・マクリーン著『女王陛下のユリシーズ号を挙げたい。世の中には面白い小説がたくさんある。しかし最近は、大人になったからだろうか、面白い小説を読んでいても、どこか小説の世界からは距離を取りながら、俯瞰的に楽しんでいることが多くなった。ベストセラー小説の宣伝を見ても「どうせ読んだら面白いに決まってるのだから、別に読まなくてもいいか」と捻くれたことを思うくらいである。子供の頃のように、純粋に小説世界にのめり込むようなことがめっきりと少なくなってしまった。
 が、この小説『女王陛下のユリシーズ号』は桁違いに面白かった。読後2、3日は小説世界から抜け出せず、ユリシーズ号と共に海上にいる夢までみた。普段は読まない戦争ものであり、決して読んでいて楽しい話ではないのだけれど、そこにある人間臭いドラマにグッときてしまった。
 とにかく良くある現代的な面白い小説に飽きてしまった人は、一度読んでほしい。おすすめです。

長年の積読本を読んだ

 中学生か高校生くらいのときからいつか読みたいと思っていた『死の棘』(島尾敏雄著)をついに読んだことも印象深い。国語の副教材の国語便覧で知った気がする。ご存知のとおり、作者夫妻の夫婦喧嘩の様子をこと細かに書いた私小説である。新婚生活で読む本ではなかった。とにかく凄まじまい。いろいろな読み方がされてきた本だと思うが、私は読んでいてひたすらに、夫婦喧嘩の間に取り残された幼い兄妹が不憫で仕方がなかった。色々な意味で、現代では書けない小説だろうと思う。
 またこの小説の読後に『狂うひと―「死の棘」の妻・島尾ミホ―』梯久美子著)という島尾敏雄の妻である島尾ミホに焦点を当てた評伝を読んだ。実はこちらの本を読んでみたくて、『死の棘』を読んでみたようなものである。内容は期待通りで、島尾ミホというかなり特殊な人生を歩んだひとりの女性の生涯を、「書かれる女」「書く女」という視点で追う内容。読み進めると書かれた女としてのミホの姿と実際のミホとの差異も浮かびあがり、その姿を書き出した島尾敏雄の作家の業を感じた。
 この夫妻の短編が並んで収録されているアンソロジー『我等、同じ船に乗り 心に残る物語―日本文学秀作選』(桐野 夏生編)もおすすめです。

死の棘 (新潮文庫)

死の棘 (新潮文庫)

狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ

狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ

ディストピア小説を読む

 ところで、2018年の読書録的目標はSF小説を読む」ということであった。積極的に読んできたジャンルではなかったため、ここいらで集中的に読んでおこうと思って設定した目標である。結果としては月に1冊も読んでいないのだが、それでもこのような機会でもなければ一生脳内積ん読のままであったろう『ソラリス』(スタニスワフ・レフ著)などが読めたので良かったと思う。
 SFとは意識せずに読んだのだが、『消滅世界』(村田沙耶香著)という小説が、SFチックでとても面白かった。とある実験都市では工場で子供が育てられ、そこの市民はみんな、そうした子供たちの「おかあさん」となるという設定である。インターネット上の書評や感想文をみると、ディストピア小説という形容がされていた。
 この本をきっかけにSF小説を読むというよりは、ディストピア小説を読む方向にシフトした。SF小説ディストピア小説は相性が良い。こうして出会ったのがマーガレット・アトウッド侍女の物語であり、オルダス・ハクスリーすばらしい新世界である。
 特に『すばらしい新世界』は示唆に富んでおり、面白いだけではなく、いろいろと考えさせられた。自由よりも幸福を選んだ未来都市に生きる人々(ここの人々は工場で生産されて産まれてくる)の物語であり、この本を読んでからは自身の幸せや私の生きる社会について考える際に、この小説の世界観がひとつの指標として立ち現れてくるようになった。例えば、こんな自由も幸福もない働き方をするのなら、自由ではないが幸福である『すばらしい新世界』の住民の方がマシではないか…などと。
 またこの『すばらしい新世界』のテーマは、森博嗣SF小説であるWシリーズのテーマとも近く、ちょうど同時期に読み進めていたので、比較しながら楽しめた。ディストピア小説界も奥深いので、2019年も引き続きいろいろと読んでいきたい。

dokusyotyu.hatenablog.com
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 他にも、國分 功一郎著『暇と退屈の倫理学を1ヶ月かけて再々読したり、ブルーバックスで人類学や進化の本を読んだりしたことも思い出深い。人間とは何か、人生とは何か、ということを考える楽しみは、ディストピア小説を楽しみに似ている。ディストピア小説も人間と人間社会とは何かを問うているからだ。
 『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』(キャスリーン・フリン著)アウシュヴィッツの図書係』(アントニオ・G・イトゥルベ著)『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』(高野秀行、清水 克行著)なども面白かった。『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』は面白かったので、英語の勉強も兼ねて原著も買ってしまった。これから年末にかけて再読するつもり。『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』は本についての対談本で、ネタになっている本はどれも面白そうで、ぜひ読んでみたいのだけど、まだ、読めていない。ぜひ、来年こそ読んでみたい。

 このように本のことを考えていると、さらに本が読みたくなる。明日は図書館へ行こう。さて、2019年はどのような本に出会えるだろうか。良い本に出会えますように。
 ちなみに2019年の読書録的目標は「本代にいくらつぎ込んでいるのか把握する」である。残念ながら無尽蔵に金を持っているわけではないので、息の長い読書ライフを送るためにも、一度本代を把握しておかないといけないなという危機感からの目標である。世知辛い世の中だ、まったく。