読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

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2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2019年の読書振り返り

2019年を振り返る。 今年はどんな年だったか。人生2度めの転職をした年であった。転職は人生において結構な一大事だ。しかし転職してから9ヶ月が経ち、新しい職場にそこそこ馴染んだ今から振り返ると、そんな一大事を乗り越えたという感慨はない。すでに新し…

『日曜日の人々(サンデー・ピープル)』高橋弘希【読書感想】

パンクでトリッキーな小説を読みたい。そんな欲求に突き動かされて向かった本屋さんで出会った一冊。手のひらに軽く収まってしまうほどの、薄めの文庫本。表紙にはクマのぬいぐるみ?が描かれた黄色い皿に、ケーキが乗っているというよく分からない写真。「…

ロスジェネ小説 『ロス男』平岡陽明【読書感想】

ロストジェネレーション世代の作家が書いた、ロストジェネレーション世代の男を主人公とした小説『ロス男』(平岡陽明著)を読んだ。 生まれ落ちた世代で規定されてしまうほど、人生というものは単純ではない。「ロストジェネレーション世代」と一言で言って…

#小説で振り返る私的2010年代

ツイッターを眺めていたら、面白そうなハッシュタグを見つけた。#小説で振り返る私的2010年代。 2010年から2019年までの各年の私的ベスト小説を挙げていくというタグだ。ベストセラーのリストから時代の空気が感じられるように、かつての自分が夢中になった…

やっぱりミステリは面白い『カササギ殺人事件』(アンソニー・ホロヴィッツ著)【読書感想】

今週のお題「2019年買ってよかったもの」 今村昌弘著『屍人荘の殺人』に引き続き「今更かよ」と言われそうな本を買って読んだ。アンソニー・ホロヴィッツ著『カササギ殺人事件』である。昨年末、国内ミステリ界隈で話題を攫っていたのが『屍人荘の殺人』だが…

共働きに救いはあるか?『夫婦幻想--子あり、子なし、子の成長後』(奥田祥子著)

「妻は変わってしまった」「夫に絶望した」--。取材対象者の多くが口にした言葉からは、目の前の現実から目を背け、「幻想」の中にだけにしか夫婦像を描けない男女の悲哀を感じずにはいられなかった。と同時に、苦悩し、憤りながら、それでもなお、夫婦に…

ミステリ好きこそネタバレ前に読んで欲しい 。『屍人荘の殺人』(今村昌弘著)【読書感想】

さて2019年も末である。この期に及んで私は『屍人荘の殺人』(今村昌弘著)をこのブログを読む方に勧めようとしている。本好きの方なら何を今更と思うだろう。『屍人荘の殺人』世に出たのは2017年の秋のことである。既読の方も多いだろう。 その頃の私は、し…

人を思う重さについて 『夜のアポロン』皆川博子著 日下三蔵編【読書感想】

夜になると、太陽は輝くのです。 ぎらぎらと白く燃え、すさまじいエネルギーを放ち、あたしを、あなたを、灼きつくすのです。 見せてあげましょう。あたしと一緒にいらっしゃい。 (表題作『夜のアポロン』より) 初めて読んだ皆川博子さんの小説は『開かせ…

日記のない日々について

日記についての記事がホットエントリに入っているのが目に入った。そういえば、最近は手書き日記をつけていない。 学生時代や社会人になってすぐの頃は、定期的にとはいかないが、小まめに日記をつけていた。転職の前後もそこそこ書いていたように思う。日々…