読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

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2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

今の時代は失い続けるしかない。『袋小路の休日』小林信彦 講談社文芸文庫

小林信彦の連作短編集。雑文書きの宏を語り部にした七編が収められている。 『隅の老人』『北の青年』『根岸映画館』『路面電車』『自由業者』『ホテル・ピカデリー』『街』 短編を通じ、主人公宏は何かを成し遂げるわけではない。 人生という旅路においてす…

復讐と『未来へ生きる君たちへ』送るのメッセージの間

『未来を生きる君たちへ』という映画を観た。デンマークを舞台にしたデンマークの映画である。私にとっては、初のデンマーク映画。 スサンネ・ビア監督による2010年の映画である。 ちなみにアカデミー賞外国語映画賞受賞作品。 原題(デンマーク語?)の意は「…

『「三十歳までなんか生きるな」と思っていた』 保坂和志 

保坂和志のエッセイである。エッセイにジャンルがあるとすれば、人生論思索系である。 題名に惹かれて手にとった。「三十歳まで『なんか』」である。なかなかに刺激的だ。そして懐かしい、共感。 私にも夭折願望というものがあった。 惜しまれつつ死にたい、…

いくら恋しても人の理解には至らない 大岡昇平『花影』

感想が書きにくい小説である。 大岡昇平『花影』講談社文芸文庫。 ちなみに講談社文芸文庫は大好きです。 ネタばれ注意。 主人公葉子は40歳手前の元ホステス。 16の時から男と共に生きてきた女である。 甲斐性なしの愛人から、彼女が別れた時から物語は始ま…

読書欲の肯定 『本を読んだら、自分を読め』小飼弾

読んでいて気持ちの良い本、というものがある。 大抵、自分の価値観や意見を肯定してくれるような本である。 本書『本を読んだら、自分を読め』は読書好きな読者にとって、とても気持ちのよい本だ。 なぜなら、自らの読書欲を徹底的に肯定してくれるからだ。…

本屋で目が覚めた話

目が覚めるような、という形容がある。 昨夜、帰宅途中に本屋へ寄った。実用書を買うためだ。 よく行く近所の本屋である。棚の位置は把握している。だからといって目的の棚へ一目散というわけではない。 新刊棚から文庫棚を巡り、ハードカバーの棚を覗く。い…

確かに斬新な設定の映画でした クレイブ・ギレスピー監督『ラースとその彼女』

ラースの彼女ビアンカはラブドール。 コメディーかと思いきや真面目なビルディング・ストーリー。 もてない男が自棄でラブドールを彼女にした、という話ではない。なにしろラースは町中の人々から愛されている。しかし大人になりきれず、コミュニケーション…

死にたくないけど… トルストイ『イワン・リッチの死』

題名の通り、イワン・イリッチという名の主人公が生まれてから死ぬまで、特にちょっとした原因が死病となり、身体的・精神的な苦痛を経験しつくす過程を記した物語である。 物語はイワンの葬儀の場面から始まる。そこでイワンの妻により、主人公イワンは苦し…

若松孝二監督『千年の愉楽』 中山健次原作

だいぶ前の話だが、若松孝二監督の遺作『千年の愉楽』を観た。 海辺の路地を舞台に、産婆の主人公と、彼女のとりあげた男らの生き様が淡々とした描写によって炙り出されていく。男たちはその体に流れる女狂いの血にあがらい、もがきながら、何かを求めるよう…

『出世をしない秘訣 でくのぼう考』 ジャン=ポール・ラクロワ

ブログ第1冊目。 さて、出世をしない秘訣。 はい、皮肉。 初めて本書が日本で出版されてから50年以上が過ぎている。 しかしこの本は現代を生きる私たちを今を笑い続けている。社会は何も変わっていないのか。 「本書は、出世が待ち構えている人びと――すなわ…

はじめまして

ブログ始めました。 読書録をつけてみようかと思います。 ネットをはじめ現代文明に疎いので失礼があるかもしれませんが、温かく見守っていただけると幸いです。