読書録 地方生活の日々と読書

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『あなたの中の異常心理』岡田尊司

うまくまとめられる気がしない。

読んでいる本は岡田尊司の『あなたの中の異常心理』

文章が体に入ってこない。

他の本と同時並行で読んでいるため集中できていないからか、それとも内容に疑問を覚えるからか。

メモを取りながら読み進めないと、何が大事なのか分からない。

 

しかしこの本は難解ではない。

有名人や患者たちの異常な面にスポットライトを当て、彼らの育成歴を振り返りながら、その異常さの原因を推測していく。

具体例が豊富で分かりやすい。

とりあげられている「異常」も、身に覚えのある感情がベースにあり体感として納得できる。

では、このモヤモヤはなんだろう。

 

私の中の恐怖感は異常心理に通じるのか。

この本は異常の原因の追及のために精神分析的な手法を用いている。

精神分析の科学的な妥当性は置いておく。

ただ、私自身は精神分析自体に違和感を覚える。たぶんこれがモヤモヤの正体だ。

違和感、というだけあって、明確な根拠があるものではない。

ただ「異常」の原因を幼少期の愛情不足等に求める姿勢が恐ろしいのだ。

幼少期の出来事や育てられ方が大人になったときの性格を形作るということは事実かもしれない。

でもこの考え方はとても恐ろしい。

修正の効かなさを感じるからだ。

私は決して乳幼児には戻れない。

しかも自らの幼少期時代に心の傷を負ったかどうかなんて、催眠術にでもかけてもらわない限り、一生分からない。

異常心理は誰にでもあるといわれても、実は自分の自我は1歳の頃の心の傷によって大きく歪められているのかもしれないのだ。というのは、言いすぎか。

 

しかし原因はともかく、成人してしまった私たちは自らの内にある異常心理と共に生きて行かなければならない。

完璧な人間はいない。

この本を読めば立派な業績を残した緯人たち(夏目漱石からショーペンハウアーまで)の別の素顔が良く分かる。

自らの完璧ではない部分をどのように受け入れていくか、が重要なのだろう。

受け入れる、言葉にするのは簡単だ。

ちなみに私は自分の中の自意識過剰な部分が大嫌いだ。

このように書くことも、自意識過剰さの発露だということも承知している。

この自意識過剰さも、「他者から承認や愛情を求める欲求」に端を発しているのだろうか。

 

正常と異常の間に。

著者は最初に正常と異常の間に明確な区別は存在しないという。

だからこそ、ちょっとバランスを崩してしまうだけで、異常側に傾いてしまうこともあるのだろう。人生、常に欲求が満たされているわけではない。

異常側へ傾かないために、著者は自らの振り返りと他者との関わりの重要性を述べる。

けれども「私は異常ですか」と聞くことさえ思いつかなくなってしまったとき、私はどうすればよいのだろう。

あなたの中の異常心理 (幻冬舎新書)