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読書録 本読みの貪欲

近畿地方の某田舎町で一人暮らし中。

旅行にキンドル。

1週間ばかり調査に出かけていた。
24時間365日、本の世界に浸りたい私には、外出時にも本は欠かせない。旅行なり出張なのに便利なのはやはり電子書籍である。一週間分の本を持ち歩くのはなかなか大変だが、電子書籍ならリーダー1つで良いので荷物を減らすことができる。一週間程度なら充電器を持ち歩かなくても乗り切れる(充電を持たせるために通信機能は切っているが)。

電子書籍リーダーを持っていなかったころは、薄くて濃い本を選ぶのに苦労したものである。ちなみにそういう観点からのお勧めは、普段はなかなか読めない長編文学作品。以前、2か月間弱の旅行の合間に『白鯨』を読み切った。

今回の滞在にあたり、キンドルストアで読みたかった本を買い、0円本を探した。旅行中に読む物がなくならないようにとレ・ミゼラブル(岩波文庫底本の豊島与志雄訳が0円!)を落としたりした。『レ・ミゼラブル』は2012年公開のミュージカル映画にはまり(映画館で3回見て、DVDも買った)、角川のダイジェスト版を読んだ。全訳は何度か挑戦したが、アンジョーラが出てきて満足してしまい毎回同じところで投げだしてしまう。こういう本こそ旅行向きだ、と思う。ただし、上記キンドル本には岩波文庫に収録されている挿絵の版画は入っていません。

他にも飽きないようにと小説以外の本――エッセイや新書を何冊かキンドルに入れた。準備は万端だった。

こうして一週間ばかり前の私は意気揚々と最寄駅から特急電車に乗った。電車は速度を増し、見慣れた街並みがやがて点景となる。二時間ばかりの乗車であった。落ち着いたところで鞄を探った。そして気づく。ない。私のキンドルが。一瞬、落としたのではと不安になった。鞄が開けっぱなしになっていることに気づかないことがよくあるのだ。だが、鞄のチャックは確かにしっかりと閉まっていた。それに田舎町の非雑踏でキンドルを落とせばさすがに気がつくだろう。
諦めた。キンドルは部屋に忘れたのだ。
私の手元には本がない。二時間本無しで過ごすのは苦痛なので寝た。一時間半ぐらいぐっすり寝てた。

乗り換え駅で本を買った。オリヴァー・サックス『火星の人類学者』
一冊をちびちびと舐めるように読むことにした。
けれども幸いなことに、いったん目的地についてしまえばやらないといけないことが山程あり、本を読む時間はまったくと言っていいほど取れなかった。
帰路、移動時間に読むための本を一冊追加で買っただけで今回の滞在は乗り切れた。
買ったのはアゴタ・クリストフ悪童日記。映画化されるし読んどくかぐらいの気持ちで手にとったが、読んだらものすごく面白かった。今年読んだなかで良かった本トップ3に入るぐらい。一気に読んだ。読み終わり、ふうと息をつくと、我が田舎町が見えてきたところだった。

帰宅後、部屋の中の本の山の一番上に私のキンドルは鎮座していた。充電は減っていない。さすが。

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