読書録 本読みの貪欲

地方在住三十路女の読書日記。趣味が読書と言えるようになりたい。本のほかには犬と魚が好き。

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人生初ジェフリー・ディーヴァー『ウォッチメーカー』 【読書感想】

 いわゆるシリーズ物の小説を、シリーズの途中から読み始めることに抵抗はありますか。私はすごくある。シリーズものは頭から読みたい。シリーズものを途中から読んでしまうと、そのシリーズを100%楽しめない気がするからだ。読んでいる本より前に出た本のネタバレに遭遇してしまう可能性があるし、登場人物たちの関係性の発展過程を追うことができないからだ。
 だから出来るだけシリーズ物は一冊目から読むようにしている。
 しかし、シリーズ物は一冊目から読むというルールを厳格にしてしまうと、ついついシリーズ物を読むことを後回しにしてしまう。3冊程度ならともかく、十冊以上出ていると、その冊数を前に途方に暮れてしまう。時間も、本を読むための集中力も有限である。すなわち、私が読める本も有限である。ついつい手軽に感じる、シリーズから独立した一冊から優先して読んでしまう。
 シリーズものを後回しにしていると、積読の山はどんどん大きくなる。もういい加減に歳なので、自分ルールのこだわりを捨てることにしよう。100%楽しめなくとも、読まなければまったくその楽しさを知ることはできないのだから。

シリーズ7作目『ウォッチメーカー』

 さて。そんなわけで手にとったのは、面白いと以前から聞いていたジェフリー・ディーヴァー著の『ウォッチメーカー』である。四肢麻痺患者であり、科学捜査専門の犯罪学者であるリンカーン・ライムと鑑識捜査官のアメリア・サックスが活躍するサスペンスシリーズの7作目である。シリーズ1冊目はボーン・コレクター。この本は映画化もされているようだ。
 扉のあらすじを引用しよう。

 ウォッチメーカーと名乗る殺人者あらわる。その報がリンカーン・ライムのもとにとどいた。手口は残忍でいずれの現場にもアンティークの時計が残されていた。やがて犯人が同じ時計を十個、買っている事が判明したーー被害者候補はあと八人いる! だが、いつ、誰が、どこで? 尋問の天才キャサリン・ダンスとともに、ライムはウォッチメイカー阻止に奔走する。
 一方、刑事アメリア・サックスは別の事件を抱えていた。会計士が自殺を偽装して殺されたーー事件にはニューヨーク市警の腐敗警官が噛んでいるようだった。捜査を続けるアメリアの身に危険が迫る。二つの事件はどう交差するのか?

 
 とても面白かった。土日で一気に読んでしまった。読みだしたら止まらないタイプのサスペンス小説であり、捜査が少し進んだと思えば新たな事件が起こり、そこでさらに読むと今度は驚くべき物語上の転換がある。それが3セットくらいくり返される。特に32章の大転換はすごい。「すごい」以上のことを書くとネタバレになってしまいそうなので書かないが、とにかく冒頭から一気読みして32章までたどりついてほしい。もちろん、32章から先にも更なるどんでん返しが待っているので心配しないでほしい。32章はまだ物語が三分の二が過ぎたあたりに過ぎない。
 
 また厳密な科学捜査を武器にするライムの捜査自体も新鮮で、面白かった。少しずつ証拠を積み重ねていき、真実にたどり着く感じがとても良い。もっと読んでみたい。また逆にライムが重視してこなかった証人尋問について、それを補うように登場したダンスによる科学的な根拠に立脚した尋問の場面が良かった。彼女のダイエット中の二児の母というキャラクターも好きだ。

結論:シリーズ途中からでも楽しめる

 シリーズを途中から読んでみたのだけれど、それでも十分に楽しめて良かった。物語としてはこの一冊として独立しているし、私のような初めての読者にも登場人物たちの個性は十二分に伝わってきた。ただしこの一冊を読んだことで、以前の事件が気になってきたことも事実だ。ライムとサックスのこれまでの関係も気になる。次はとりあえず一冊目の『ボーン・コレクター』を読んでみようかなと思っている。
 
 ところで。書きながら思い出したのだけれど、中学生の頃の私はシリーズものだろうが順番関係なく、クリスティーやらカーやらエド・マクベインやらのミステリーを読んでいた気がする。あんまりシリーズものだから、とか考えていなかった気がする……面白いミステリシリーズはどこから読んでも面白い、ということで。

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