読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

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転職しました(1年ぶり2回目)

人生で2度目の転職と読書生活

 人生2度目の転職をして1週間が経った。まだ大した仕事はしていないのだけれども、想像以上に疲れ消耗している。職場の雰囲気は良く、先輩方も親切で、とりあえずひと安心した。この職場であれば、長く働けそうだ。採用頂いたからにはしっかりと仕事を覚えて、結果を出していきたい。
 という頑張っていきたいという気持ちは強いのだけれども、しかし、毎日気を張り詰めているのか、毎日疲れて帰ってきている。帰ってきて、家事をして、お風呂に入って、眠る。普段通りのはずなのに、それぞれがやたらと億劫である。疲れているはずなのに、寝坊してはいけない通勤時に迷ってしまうといけないと、朝はやたら早く目が醒める。
 そして何より、本を読む気にもなれない。転職する直前まで自分でも驚くほど乱読をしていたのだけれども、読書に対する欲求がピタリと止んでしまった。寒い夜は湯船で本を捲るのが日課なのだが、それすらもする気になれない。詩集をぱらぱらと開き、いくつかの詩を拾い読んだくらいである。読みかけの小説もノンフィクションも手元にあるのだけれども、開くことはなかった。

 本を読む気が起きない間、ではどんな本だったら読む気になれるだろうかということを考えていた。面白い短編なら読める気がした。ではどんな短編を私は面白く読んできたか。またどんな短編であれば今の気分にぴったりだろうか。本は読めなくとも、過去読んだ本に対する回想・妄想ならできる。自分がもしもアンソロジーを編むとすればどの短編を収録するだろう。その妄想は楽しく、読書を趣味にしてきて良かったと思う。自分の中のベストを選ぶ作業は、読んできた本の蓄積が増えれば増えるほど愉悦が増す。
 思考はまとまらずマイベスト短編集は制作途中ということにしたが、その過程で浮かび上がってきた短編のひとつにやたらと惹かれるものを感じた。シャーリイ・ジャクスンの「くじ」という短編である。不条理なルールのある村で行われるくじ引きについて書かれたブラックな短編である。私はこの短編を何かのアンソロジーで読んだ。文春文庫の『厭な物語』だったか。シャーリイ・ジャクスンについての短編はこの1篇しか読んだことがない。他の短編も読んでみたいと思った。ゴシック風味のブラックな短編、疲れた心をリフレッシュさせるには現実から距離を取れる物語が一番だ。
 
 金曜日の夜。とりあえず一週間を過ごせたので、仕事帰りに本屋へ寄った。インターネットで本を買うのは簡単だが、本屋へ行くという行為自体が私にとってはひとつの娯楽である。残念ながらシャーリイ・ジャクスンの本は置いていなかった。手ぶらで帰るのもなんなので、古典新訳文庫『書記バートルビー/漂流船』(メルヴィルを買った。最近読んだ本(複数)にて『書記バートルビー』が取り上げられており気になっていた。
 帰宅後、改めてネット通販で本を買おうかと思い、amazonのページを開いた。そして値段を見る。最近は、本屋で実際の本を手にとる際、文庫本なら値段を気にしないことが多い。しかし液晶画面を通して物をみるときは別だ。サイトは価格に目が行くようなデザインになっているし、実物を前にしたときの高揚感がないせいで、冷静に価格と本を見比べることができるからだ。何冊かあるシャーリー・ディクスンの短編集の値段を確認し、どれも1000円以上することに驚いた。電子書籍も値段はほとんど変わらない。中古もそこそこする。私はクリックするのをやめた。そしてこの文章を書いている。書きながら迷っている。1000円超か……多分、本屋で出会っていたのならば、買っていただろうな……

未来予想図

 さてブログのお題は私の未来予想図とのこと。正直、未来はまったく見通せない。学生のころの自分はまったく考えてもいなかった地平に今の私は立っている。そもそも新卒5年以内に2度も転職するなんて、まったく想定していなかった。この5年間で分かったことは、私のように意志薄弱で流されるように生きていると、想像もしなかった場所で生きることになるということだろう。良くも悪くも。しかしこの漂泊するような生き方を、私は決して嫌いではない。それにどこに生きようと、私の側には本がある。それで十分ではないか。

 ただもう少し高望みをすれば、好きな本を好きなだけ買えるような人生を生きたい。1000円の文庫本も「働いているんだから買って当然」と思って堂々と買えるような余裕がほしい。

 高望みを現実にするには、まずは今の職場に一日でも早く慣れ、働き続けることができるだけの能力を得ることだ。多分来週には、平日の夜にも小説くらい読めるようになっているだろう。頑張っていきたい。


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