読書録 本読みの貪欲

地方在住三十路女の読書日記。趣味が読書と言えるようになりたい。本のほかには犬と魚が好き。

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2019年の読書振り返り

 2019年を振り返る。
 今年はどんな年だったか。人生2度めの転職をした年であった。転職は人生において結構な一大事だ。しかし転職してから9ヶ月が経ち、新しい職場にそこそこ馴染んだ今から振り返ると、そんな一大事を乗り越えたという感慨はない。すでに新しい職場もすっかり日常となった。それでも転職に伴い、多少の生活リズムは変わった。日常を維持するために、自分で自由に使える時間が減り、本を読む時間も減った。
 だから今年は、転職前の不安定な時期はそこそこ本を読んでいたが、春から夏にかけてほとんど本を読まなかった。しかしまた秋の終わり頃から少しずつ読書の習慣が戻ってきた。寒くなってきたのでお風呂の湯船に湯を張るようになり、湯船の中で本を読むようになったのだ。それをきっかけとして湯から上がった後も本を手に取ることが増えた。何事もそうだが、読書も続けることで、見えてくる世界があると思う。来年2020年も出来るだけいろいろな本を読んでいきたい。

 以下、2019年印象的だった本を思いついた順に。

『戦後ゼロ年 東京ブラックホール貴志謙介

 NHKスペシャルを書籍化した一冊。戦後0年‐‐1945年の夏からの1年間の東京を描いたノンフィクション。年初に読んだにも関わらず、強く印象に残っている。戦争の残酷さよりも、戦争が招いた社会の混沌に焦点をあてている。
 この本に影響されて購入した短編集闇市』(マイク・モラスキー編)という題名そのまま闇市をテーマにしたアンソロジーを積んでいただが、最近少しずつ読み進めているところ。冒頭から太宰治の『貨幣』という100円札を主人公にした短編が収められていたりして、興味深い。
 戦争といえば、今年は集英社「戦争と文学」シリーズが文庫化された年だ。まさかこのシリーズが文庫化されるとは思っていなかったので、書店に並んでいるのを発見したときはかなり驚いた。文庫でもさすがに一気に揃えるのはきついので、少しずつ買い集めたい。

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戦争と平和トルストイ

 2019年はついにトルストイの大長編戦争と平和を読了した。長かった。面白かった。岩波文庫全6冊で読んだのだが、一冊読んでは長い休憩に入る、ということを繰り返していたので、読み通すのに時間がかかってしまった。
 せっかく読んだので色々語りたいような気がする。
 ヒロインであるナターシャのことは最初から最後まで好きになれなかった。
 主人公の一人ピエールについては、最初から最後まで人物像がはっきりとせず(どんな人なのか、自分の中で彼の像がブレまくっていた。焦点が合わないというか……)、良くわからなかった。
 じゃあ誰が好だったのかといえば、ナターシャの兄ニコライですね。上記ピエールやもう一人の主人公アレクセイに比べると、彼はだいぶ「凡人」である。単純な性格をしており、いいお兄ちゃん、という感じ。ピエールが全6巻の中で、泥酔したり決闘したり結婚したり別居したりフリーメーソンになったり戦場へ行ったり捕虜になったりといろいろ迷走しているのに対し、ニコライはずっと兵士である。その単純さが庶民的に思え、親近感を抱いた。幼いころの約束(「いつか結婚しよう!」)をあっさり自分の中でなかったことにして、一目惚れした女性と付き合ってしまうところも、普通の人っぽくて好きだ。
 ところでこの『戦争と平和』、2020年に光文社古典新訳文庫より新訳が出るとのこと。つい先日知って驚いた。これはもしや、ピエールをしっかりと理解するためのチャンスなのでは。トルストイアンナ・カレーニナも読んでみたい。10年くらい前、10ページくらいで挫折したのだが、今なら楽しく読める気がする。

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『贖罪』イアン・マキューアン

 ブログに感想は書いていないが、とても印象部深い一冊だった。これもまた戦争にまつわる小説。主題は「戦争」ではないのだが(ではこの小説の主題はなんだろうか。「現実を物語として語ることの罪について」だろうか)、私には第2部のロビーが直面したダンケルク撤退戦の描写が強く印象に残っている。人々が故郷を目指し延々と歩いていく。一見長閑な風景に、突如爆撃が襲いかかる。放棄される物資や遺体。人々は疲れ切っている。それでも彼らは一心不乱に海を、そしてその先の故郷を目指す。一昨年かな、映画『ダンケルク』を見逃してしまったのだが、見てみたいなと改めて思った。
 またこの小説は、作中作という構造をうまく利用している。
 この一年は作中作が効果的に使われている小説によく出会った年でもある。カササギ殺人事件』(アンソニーホロヴィッツ著)『昏き目の暗殺者』(マーガレット・アトウッド著)、そして現在読書中の『熱帯』(森見 登美彦著)。作中作が生かされた小説は、どれも重厚で面白い。特に、恐慌と世界大戦を背景に一族の没落と言葉の持つ暴力性を描いた『昏き目の暗殺者』はどこかでしっかりと感想を残しておきたいと思う。

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2020年の目標

 さて来年である。毎年のように書いているが、来年こそしっかりと読書記録を残しておきたいと思う。そして出来るだけ感想を言語化したい。
 また今年は小説ばかり読んでいた気がするので、ノンフィクション系の本も積極的に読んでいきたい。読みたいなと思っている本はいろいろある。
 それから積読の消化。来年は引っ越すかもしれないので、それまでに身軽にしておきたい。勢いで『モンテ・クリスト伯岩波文庫全7冊を買ってしまったりもしているので、コツコツと読み進めよう。他にも来年は「鈍器本」といわれるような、ひたすら厚い海外文学になにかチャレンジしたい。

 そんな感じで新年を迎える。色々と書き漏れている本がある気がするが、とりあえずこの文をアップしたら、読書中の『熱帯』の世界にいってきます。

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