読書録 地方生活の日々と読書

趣味が読書と言えるようになりたい。

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2014-01-01から1年間の記事一覧

本の雑誌7月号は書斎特集!

2年ほど前から『本の雑誌』を購読している。 予約していた7月号を取りにいってきた。今更感は否めないが。表紙を開いて驚いた。 写真だ。 そこには円形の部屋をぐるりと囲むように配置された本棚の写真があった。普段の「本の雑誌」は、表紙を開いたところに…

立派に生きたいと思った 深沢七郎『楢山節考』

今日は某就職試験の合格発表があった。 発表時間までの焦る気持ちを落ち着かせようと、とりあえず本を読む。 名作を読んでおこうということで買った一冊。 深沢七郎『楢山節考』。第一回中央公論新人賞の当選作である。有名だから読んでおこう、という浅はか…

犬が語るミステリー 『ぼくの名はチェット』スペンサー・クイン

犬が好きだ。 くるくるとその場を回ったり、じっと窓の外を覗いている姿を見ると、こいつらは何を考えているのだろうかと思う。 ああ、犬と話せたらいいのに。 でもきっと人が犬のことを好きなのは犬たちが決して言葉を話さないからだ。 言葉の非万能性を教…

気分屋の気分が高揚してる時の読書

私は気分屋だ。気分屋は疲れる。 気分の変動に自分が振り回されるし、他人を振り回さないように注意しなければならないから。 だから気分屋から脱したいと思っている。 常に冷静に、自らの課題に粛々と取り組みたいと思うのだ。だが現実は、歳をとればとるほ…

モスクワ国際映画祭最優秀作品賞受賞!桜庭一樹原作映画『私の男』を観てきた!

昨日は7月1日だった。毎月1日に連続殺人の被害者が発見されるサスペンスといえばアンドレアス・グルーバー『黒のクイーン』。 でも一般的にいえば、毎月1日は映画の日でしょう。ということで、映画を見てきました。 以前、我が田舎町では『私の男』の上…

「夏の100冊」の季節がやってくる。

今週のお題「2014年、夏の予定」夏の予定、という言葉を見て考えた。予定などあってないようなものだ。 春夏秋冬、季節の移ろいに関係なく、代わり映えのない日々が過ぎていくだけだ。 2014年夏の予定……未定。先日、古本屋で買った本の間に「2008夏の100冊」…

中島らものエッセイを読む 『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』【読書感想】

中島らも『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』を購入。中島らもという書き手を知ったのは、中学生のとき、母親の本棚を覗き見したときであった。 『心が雨漏りする日には』という本を見つけた。当時『症例A』などの精神病系ミステリやサスペンスを好んでいた…

とにかく自由で面白い小説『不滅』(ミラン・クンデラ著)【読書感想】

読み終えた瞬間、頭からもう一度読みたい欲に駆られる本がある。 ミラン・クンデラの『不滅』。 これ、すごい。生涯手放さない本リストに追加した。 ちょっとした不注意で、本の地をボールペンで汚してしまって大変後悔している。面白い本に出会うと、その面…

モーム『雨』 書かれなかった部分を妄想してみる。

先日買ったモームの短編集から(買った日のブログはこちら)すべての本には「謎」が潜んでいる。 私たち読者はその謎の正体を知りたいがために本を読み進む。推理小説なんてその典型だろう。 探偵の謎解きが始まったとき、私たちは彼の言葉を一言も聞き逃すま…

本屋めぐり。

就職試験の関係で某地方都市へ行ってきた。せっかく地方都市まで出るのだから映画でも見ようと思ったが、帰りの電車の関係で観られず。 我が田舎町へ向かう電車は2-3時間に一本しかないのである。 『私の男』、観たかったなー。 我が田舎町の映画館では『私…

戦前×上流階級×同性愛 谷崎潤一郎『卍』

積読山の消化。 途中まで読み、放置していた本を手に取った。 谷崎潤一郎『卍』。前半はただの不倫小説(?)だったのだが、後半になるにつれ、事件性、物語性が増していき、結末は、まさかそこまで行くとは、というような地点にあった。 放置していたのが嘘…

『ひとりで死んでも孤独じゃない 「自立死」先進国アメリカ』 矢部武

人は歳をとる。 私もあなたもいつかは老人となる日がやってくる。もちろん老人になる前に亡くなる可能性もあるが、祖父母が存命であることや医療技術の進歩等を考え合わせると、あと50年ぐらいは軽く生きてしまう気がしなくもない。50年か……さて、50年後、私…

誕生日、99冊、本を売った。

人生とは行動の積み重ねである。この二十数年間でもっとも多く行った行動は睡眠であろう。 が、ここでは睡眠は除外する。次に多く取った行動は何だろう。主観的には読書だろう。 つまり私の人生は読書だったといえる。人生=読書な私にとって、本は文字通り…

悪夢な短編集 ブライアン・エヴンソン『遁走状態』

新潮クレストブックスに面白そうな題名を見つけた。『遁走状態』。表紙は、頭と顔を包帯でぐるぐる巻きにした男のイラストである。 裏表紙には「どこまでも醒めた、19の悪夢。」「ホラーも純文学も超える、驚異の短編集」とのコピー。 さらに、決めてとなっ…

今流行りのアドラーを読んでみた!

どうやら世間ではアドラー心理学が流行っているようだ。きっかけとなったと思われる岸見一郎著『嫌われる勇気』は我が田舎町の本屋でも、入口付近に山積みされている。 6月1日16時現在、『嫌われる勇気』のアマゾンのカスタマーレビューは294件、評価は5つ星…

60年前のニューロティック・スリラー『悪魔に食われろ青尾蠅』ジョン・フランクリン・バーティン

あとがきや解説は本編を読み終わってから読む派である。本編を読み終えて解説を読み、驚いた。 本作が書かれたのは60年近くも前であった。本編読書中、まったく古さを感じなかった。 ニューヨークの街中で、タクシーと馬車が共存していたが、きっとアメリカ…

無料映画 『Saving 10,000 自殺者1万人を救う戦い』レネ・ダイグナン監督

もちろん私は日本が好きである。 その一方で、日本社会が決して生きやすい社会ではないことも知っている。 日本社会での生きにくさは、自殺者が10年間で30万人という数字に表れている。 30万人とはアイスランドの人口程であるという。 自殺についての映画を…

コンデジ PowerShot s120買った。 『大人の写真。子供の写真。』 新倉万造・中田燦

最近カメラを買いました。 といっても所謂コンデジです。canon s120というやつ。カメラには詳しくないので善し悪しはイマイチ分からないが、今のところ満足。今の田舎町に住むのも、もう1年を切ってるんだな、とある日思った。 大学を卒業したら、私はこの…

名づけと『ホテル・ニューハンプシャー』と『ゲド戦記』

今週のお題「名前をつける」名づけ。 動物を飼うことを考える。 例えば、犬。犬と過ごす毎日を思い浮かべる。 小さな犬もいいけど、体力のあるうちに大きな犬を飼ってみたいな、とか。 あそこを散歩しよう、この芸を覚えさせよう、社会化はしっかりしないと…

学生時代に読むべき本とは? 埴谷雄高『死霊 Ⅰ』

はてなさんに先週のお題で、先週の記事を取りあげて頂きました。ありがとうございました! 学生時代に読むべき本? 学生のうちに読んでおいた方がよいのではないか、と思われる本がある。 有名な作品で、かつ、読むのに時間がかかりそうなもの。 学生時代の…

蒲団読書、ベッド読書

今週のお題「布団派? ベッド派?」大昔、本当に幼い頃は畳に蒲団で寝ていた。 幼稚園に通っていた頃、二段ベッドが我が家にやってきた。 よっぽど嬉しかったのだろう。マットレスを入れる前のベッドで、かくれんぼしたり階段を上り下りしたりして遊んだのを…

人生初の廃墟本。 『総天然色 廃墟本remix』 中田薫・文 中筋純・写真

何が「総天然色」なのか、何が「remix」なのか。 そう思いながらも、手に取りペラペラめくるうちに、何かがピンときて気づいたら購入していた。 疲れていたのかもしれない。 が、読む。 興味深い。いや、感慨深い。総天然色=オールカラー? 廃墟に興味はあ…

読書日記が続かない

自分は極度のめんどくさがり屋で飽き性ある。 それでも何とか3年続いてきた読書記録が、ここ一月ほど停滞している。 読み終わっただいたいの日付と題名を書くだけのものなのに続かない。 最近出歩くことが多く本を読み終わった時に記録ノートが手元にないこ…

『第9地区』 ニール・ブロムカンプ監督

DVDで観ました。 以前から気になってはいたものの、宇宙人が攻めてくるパニック映画、ホラーSFだと思い込み敬遠していました。 DVDのパッケージも恐ろしげですし。 が、それは勝手な思い込み。そこまで怖いものでもないらしいとのことで、ようやく観ました。…

GWだし、本屋へ行って、意識高い系について考えて、ダーレン・アロノフスキー監督『ブラック・スワン』を観た。

今週のお題「ゴールデンウィーク2014」GWである。黄金週間である。ということで、車で大きな本屋へ行ってきた。文庫本を眺めていると、恐ろしいやりとりが聞こえてきた。 若い男の人と店員さんの会話。男の人:ブルーバックスってどこですか? 店員さん:ブ…

『HACHI 約束の犬』 ラッセ・ハルストレム監督

世の中には二種類の人間がいる。 すなわち犬が好きな人間と猫が好きな人間だ。 本と同じぐらい生き物が好きです。 昔から動物が好きだった。 小学校低学年の時、誕生日プレゼントに「いぬとねこの図鑑」を買ってもらった覚えがある。 当時はアパート住まいだ…

『解錠師』 スティーブ・ハミルトン 

このミステリーがすごい! 2013海外編、および、週刊文春海外ミステリーベストテン海外部門で第1位を獲得した有名作。ようやく読みました。 ミステリ? 狭義のミステリの定義に従えば、本書は、ミステリではない。 解かれるべき謎はない。 しかし、犯罪はある…

ミラン・クンデラ『別れのワルツ』

ミラン・クンデラにハマろうとしています。ミラン・クンデラという名よりも、『存在の耐えられない軽さ』の著者と言った方が通じるだろうか。 私自身も、彼のことは、ボスミア出身で亡命経験があるということだけしか知らない。 しかしそれで十分。彼の著作…

原作と比較。映画『そこのみにて光輝く』呉美保監督

函館には住んでいたことがある。 佐藤泰志の原作はもちろん既読。 先入観ありまくりの映画鑑賞をしてきました。 映画、原作ネタばれあり『そこのみにて光輝く』感想 原作を読んだことがある作品を、映画で観ることはあまりしない。 むしろ普段はできるだけ先…

日本に生まれたんだから幸せに思え?『世界「比較貧困学」入門 日本はほんとうに恵まれているのか』 石井光太

ネット上でもリアルでも、経済的な愚痴をこぼす人に対して、「でも、アフリカなんかに比べたら、日本に生まれただけで幸せなんだから」という人がいる。 言われた方は、確かに日本は経済大国でもあるので、「それはそうだけど」と答えるしかない。 言いたい…